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建設業とは
建設業とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負うことをいいます。
ビル管理や保守点検、消耗品の交換、設計などは建築工事に該当しません。
また、自分の家を建てることも、建設業にはあたりません(請け負っていないので)。
建設業許可が必要な工事
「500万円以上の工事については、建設業許可が必要だ」という話は、お聞きになったことがあるかもしれません。
もう少し詳しくお話しすると、次の工事を行う場合に、建設業許可が必要になります。
建築一式工事以外の建設工事:1件の請負代金が500万円以上の工事
建築一式工事:1件の請負代金が1500万円以上の工事
ここで言う「500万円」「1500万円」は消費税込みの金額です。
消費税率が上がってもこの金額は変更されませんでした。請負代金が460万円(消費税抜)の工事は、消費税8%の時代には建設業許可が不要でしたが(税込み496万8000円)、消費税10%に増税後は建設業許可が必要になりました(税込み504万円)。
また、一つの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額となります。たとえば、トータル600万円の工事について、注文書や請求書を2通に分けても、実質的に一つの工事と認められれば、その工事には建設業許可が必要です。
建設業許可を受けるためのキーポイント
建設業許可は、定められた要件を満たしていれば取得することができます。
詳しい要件の内容は別の記事に譲りますが、要件を満たしていることを証明するには、「書類」が必要です。過去の請負契約書や注文書、確定申告書あるいは法人税申告書、場合によっては通帳など、「書類」があるかどうかが大きなキーポイントになります。
建設業許可の取得を目指す方は、許可を取得する前(建設業をはじめたとき)から、こうした書類をきちんと作成し、保管しておく習慣をつけておくとよいと思います。
建設工事の業種
国土交通省は、建築工事を29種類に分類しています。
詳しいことは別の記事に譲りますが、ここで注意していただきたいのは、営もうとする種類の工事ごとに許可が必要である、ということです。
たとえば、管工事の建設業許可を持っている業者さんが、500万円を超える電気工事を請け負うと、これは建設業法違反になってしまいます。
「建設業許可をとったから、500万円以上のどんな工事でも受注できる」と誤解されている方がたまにいらっしゃいますが、受注しようとする工事が、許可取得業種に含まれるものか、ぜひご確認いただきたいと思います。
一般建設業と特定建設業
元請業者が、1件の工事について下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が4000万円(ただし、建築一式工事は、6000万円)以上となる下請契約を締結して工事を施工する場合は、特定建設業の許可が必要になります。
大手のゼネコンをはじめ、大きな工事の元請業者となるような会社は、特定建設業許可を取得しています。
そして、特定建設業以外はすべて一般建設業になります。
たまに勘違いがあるのは、一般建設業許可だと4000万円以上あるいは6000万円以上の工事を受注できないのではないか、という点です。実は、一般建設業許可でも請負金額に上限はなく、4000万円以上の工事を受けることはできます。
特定建設業許可が必要なのは、あくまで「元請」になって、一定の工事を下請に出す場合です。
国土交通省の統計によると、日本には約46万の建設業許可業者がありますが、このうち特定建設業許可を取得しているのは約4万5000業者と、約1割です。
下請が中心であったり、元請工事があっても金額が大きくない場合には、一般建設業許可で十分です。
なお、同一の業種で特定建設業許可、一般建設業許可の両方を同時に受けることはできません。一方、たとえば管工事で特定、電気工事で一般というように、別業種であれば特定と一般の両方を取得することができます(実際、そのようなケースは少なくないです)。
無許可で建設業を営んだ場合
建設業許可を受けていないのに、500万円以上(建築一式工事は1500万円以上)の工事を請け負った場合は、建設業法に基づく罰則(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)があります。
また、公共工事に入札するための審査(経営事項審査)を受けようとするときに、評価が下がる要因にもなります。
このようなことにならないためにも、建設業許可の取得をぜひご検討ください。