就業規則が原因でトラブルが起こってしまったら

ここまで他の記事でご説明してきた通り、就業規則は労使トラブルを予防するものですが、現実にはそれでも従業員とのトラブルは0にはなりません。

もし現実に労使トラブルが発生してしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

まずはトラブルの解決が先決。すぐにご相談ください

最初は些細なトラブルと思われる事案でも、時間がたてばたつほど、だんだんと重大化していくケースが多いです。

従業員からの主張に対し会社からすぐレスポンスすれば感情的に収まったのに、1週間も放置されたことで態度を硬化させ、その従業員が弁護士や外部の労働組合、労働基準監督署などに相談したことで事が大きくなってしまった、という話もよく聞きます。

ご相談のタイミングが遅れるほど、解決が遠ざかる傾向にあります。些細なことでも何かあればまずは身近な社労士ご相談ください。はやめにトラブルの芽を摘めるケースもあるかもしれません。

一方、従業員側が裁判や労働審判やむなしという程度にトラブルが深刻化しているようなケースであれば、費用はかかりますがいち早く弁護士に依頼することが適切でしょう。

トラブルの再発防止のためには就業規則の変更が有効

労使間のトラブルが生じてしまった場合、大切なのは解決後の対応です。

就業規則にどのような規定を追加、あるいは改訂すれば同じようなトラブルが防げるのか。就業規則の規定はしっかりしていたが運用面で問題があったのか。さまざまな視点から、再発防止策を検討する必要があります。

たとえば、非違行為があった社員を解雇しようとしたが、就業規則に解雇事由についての定めがないことを理由に解雇が無効とされた、というトラブルがあるかもしれません。この場合は、解雇事由を明記した就業規則の作成をするべきでしょう。

なお、仮に就業規則に解雇事由の規定があったとも、いきなり一発解雇が認められるのはなかなかハードルが高いです。

就業規則に規定を設けるだけではなく、注意指導や懲戒処分など段階を踏んではじめて解雇が有効となりえるので、就業規則の変更とともに、就業規則に基づいた運用もきちんと行う必要があるでしょう。

また、昇給について、「基本給の昇給は、毎年4月に行う。」など、必ず昇給するとの規定になっている会社が、コロナ禍で経営状況が悪化したにも関わらず社員から定期昇給を求められた、というトラブルが生じるかもしれません。

こうしたトラブルは、「ただし、会社の業績等により昇給を行わない場合がある」と一文を追加する改訂をすれば、今後は同様のトラブルを防げるでしょう(ただし、給与に関する就業規則の改訂は、きっちりやろうとすると実務的にはやや大変だと思います)。

実は、当事務所へご依頼いただくケースで、このような就業規則を持たれている会社は少なくありません。おそらく、日本経済が右肩上がりの時代のひな型をそのまま利用した名残なのでしょうか、歴史の長い会社によく見られます。

別の記事でも説明していますが、就業規則にこんな規定があれば、もう少しトラブルを予防できたのに、というご相談は多いです。この機会に就業規則の改訂をし、今後同様のトラブルを招かないようにしておきましょう。

就業規則の変更は社労士にご相談ください

就業規則の変更は、別の記事でも説明していますが、きちんと手続きを踏んで行う必要があります。

また、上の昇給に関するトラブルのところでも説明しましたが、1度作成した就業規則を改訂するのは簡単ではありません。特に給与などお金に関する不利益変更の場合には、判例が示す変更の要件はハードルが高くなっています。

法的に有効な就業規則変更のためには、変更による影響を具体的な数字で示す、一気に変えるのではなく少しずつ変えていく(激変緩和措置)など、押さえるべきポイントがあります。経験豊富な社労士がアドバイスしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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