ここでは、建設業許可を取得することによるメリット、建設業許可という「看板」が持つ意味についてお話しします。
そもそも、建設業法が建設業許可という制度を導入している理由は、手抜き工事、粗雑工事などの不良工事を防止するとともに、更に積極的に適正な施工を実現して、発注者の保護を図ることにあります。建設業許可という1つのハードルを設けることによって、建設業者の資質の向上につなげたい、という思いがあるのです。
このような視点のもとで、以下の建設業許可のメリットをお読みいただければと思います。
このページの目次
建設業許可のメリット
大きな規模の工事を受注できる
別の記事でも述べた通り、建設業許可があれば、請負金額500万円以上(建築一式は1500万円以上)の工事を受注することができます。会社の売上増、経営基盤の安定につながります。
これまで、せっかく大きな工事のオファーがあったにもかかわらず、許可が無いゆえに泣く泣くお断りしてしまった案件はなかったでしょうか。建設業許可を取得するには、準備期間も含めると最低2ヶ月程度はかかります。とすると、実際に500万円以上の工事の依頼があってから準備を始めても、手遅れになる可能性もあるのです。
備えあれば憂いなし。建設業許可を取得すれば、ビジネスチャンスは確実に増えていきます。
社会的信用がアップする
建設業許可=金看板 などと例えられるように、建設業許可が持つ社会的信用は大きなものがあります。
詳しいことは別の記事に譲りますが、建設業許可の申請をすると、その業者の建設業に関する経験、技術力、財産的基盤、誠実性などが審査対象となります。つまり、建設業許可を有するということは、会社が持つ経験、技術、財産などの経営基盤についてお役所がお墨付きを与えたという証明でもあります。
工事の発注者としては、やはり建設業許可を持つ業者には安心して工事の依頼をすることができます。
軽微な工事でも、元請から建設業許可が求められる
元請業者の中には、コンプライアンスの観点から、請負代金が500万円を超えるか超えないかに関係なく、建設業許可を持たない業者には下請工事を発注しないというケースも増えてきているようです。
また、元請業者が、無許可業者と請負金額500万円以上(建築一式は1500万円以上)の工事を発注した場合、元請業者が7日以上の営業停止処分を受けてしまいます(建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準 令和3年9月30日国不建第273号)。
500万円を超えるかどうか微妙な工事では、建設業許可を持つ業者に発注した方が安心、という心理が働きます。
融資を受ける際にも有利
上で述べた社会的信用アップとも関連しますが、銀行等から融資を受ける場合に、建設業許可を持つことはプラス要素になります。
建設業許可によって財産的基礎に関するお墨付きがあるため融資するのに安心、というのはもちろんのこと、建設業許可の審査の中で、その業者が反社会的勢力でないことも審査されますので、銀行等にとっては安心材料の1つになると言えます。
公共工事への入札への第一歩となる
川崎市、横浜市などによる公共工事へ入札するためには、建設業許可の取得が大前提となります。
実際には、建設業許可を取得した上で、毎年、経営事項審査という審査により建設業者としての評価を受けることで、はじめて入札に参加する資格を得ることができます。
まとめ
以上、建設業許可を受けるメリットをご説明してきました。
もちろん、建設業許可を取得するにはたくさんの資料を用意したり書類を作成する手間がかかります。許可取得後も毎年報告書を提出するなどの事務作業が増えます。
これらの面倒な手続きは行政書士にご依頼いただくことが可能です。費用が許可手数料を含め20万円~30万円ほどかかりますが、それでも大きな工事を1件でも受注できれば十分お釣りが来ます。とてもよい投資とも言えるのではないでしょうか?
建設業許可の取得は、業界全体の潮流とも言えます。ぜひお早めにご相談いただければと思います。