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建設キャリアアップシステム(CCUS)とは
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、建設業に従事する技能者の経験、資格、技能、社会保険加入状況などの情報を登録・蓄積し、技能者の能力とキャリアを見える化するためのシステムです。国土交通省が推進し、平成31年4月より本格運用が開始されています。
建設キャリアアップシステム(CCUS)ができた背景
現在の建設業就労者の状況を見ると、若者の入職者が減少しており、人材の高齢化が進んでいます。就業者の減少により、外国人労働者などに頼らざるを得ない状況であり、このままだと将来的に建設業の基盤が崩れてしまいかねません。
また、建設業の年齢別賃金を見ると、40歳代でピークを迎え、その後は賃金額が減少していく傾向にあります。
こうした状況下で、若者が建設業という仕事を選択してもらうには、建設業が魅力的な職業、産業であることを示す必要があります。
建設業の特徴として、技能者が異なる事業者のさまざまな現場で仕事をするため、そうした経験によるスキルアップを統一的に評価することが難しいという問題があります。こうした状況を改善するため、技能者のスキル・キャリアを「見える化」し、ひとりひとりの技能者の経験や資格、技能に関する情報を一元化することを目的として、建設キャリアアップシステム(CCUS)が設計されました。
後述するように、技能者にも事業者にもメリットが見込まれます。国土交通省によると、令和5年4月にはすべての工事でCCUSを導入することを目指すとされています。
建設キャリアアップシステム利用の流れ
1 事業者(建設業者)の情報をCCUSに登録
会社名、所在地、資本金など基本情報を登録します。
2 技能者(建設業労働者など)の情報をCCUSに登録
本人の個人情報(氏名、住所等)、所属事業所、保有資格、研修受講履歴、社会保険加入状況などを登録します。登録後にICカードが送られてきます。
3 元請業者が工事現場の情報をCCUSに登録
現場名、工事内容などを登録します。また、その後に下請け業者とともに施工体制を登録します。
4 現場で技能者がICカードをカードリーダーにタッチ
これにより、就業状況がカードに登録されます。
建設キャリアアップシステム利用のメリット
技能者のメリット
1 適正な評価、賃金を得ることができる
ICカードに就業記録や保有資格、職長経験などが登録されることにより、1枚のカードで建設業における実力を客観的なデータで証明できることになります。適正な評価を得ることで、適正な賃金につながるといえます。
2 建退協(建設業退職金共済事業本部)の適切な積立てが可能になる
ICカードにより就業日数が明確に記録されるため、建退協の退職金に関する手続きがスムーズになります。
事業者側(建設業者)のメリット
1 技術力を対外的に証明できる
会社に所属する技能者の能力を客観的に証明できるので、元請業者や施工主、取引先に対して会社の実力をアピールすることができます。エビデンスに基づく価格交渉も可能になると考えられます。
2 人材確保につながる
良い技能者が多い会社は、新たな入職希望者へ「キャリアアップできる会社」としてその魅力をアピールすることができ、優秀な人材の確保につながると考えられます。
建設キャリアアップシステムへの登録はお任せください
メリットの多い建設キャリアアップシステムですが、利用開始までの登録作業(事業者登録、技能者登録)はかなり面倒な作業になります。登録に必要な書類などは次回以降、あらためてご説明していきたいと思います。
この面倒な登録作業がCCUS利用のハードルとなっていることを受け、令和4年2月より、行政書士による登録代行の制度がスタートしました。当事務所でも建設キャリアアップシステム登録代行を承っておりますので、お気軽にご相談ください。