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【結論】決算書が赤字でも建設業許可は取得できます
「直近の決算が赤字になってしまった…」「債務超過の状態だけれど、元請けから建設業許可を取るように言われている…」
このような状況で、建設業許可の取得を諦めかけてはいませんか?
ご安心ください。結論から申し上げますと、たとえ決算書が赤字であっても、債務超過の状態であっても、建設業許可を取得できる道はあります。
はじめまして。川崎市で建設業許認可を取り扱う「行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所」代表の猪狩 佳亮です。これまで、財務状況に不安を抱える多くの経営者様から同様のご相談を受け、無事に許可取得までサポートしてまいりました。
建設業許可の審査で問われるのは、一時期の「損益」ではありません。「請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用があるか」という点です。そして、それを証明する方法は一つではありません。
この記事では、なぜ赤字でも許可が取得できるのか、その具体的な方法、特に「預金残高証明書」という切り札をどのように活用するのかを、実際の相談事例を交えながら分かりやすく解説していきます。最後までお読みいただければ、赤字決算や債務超過の場合に確認すべきポイントと、申請に向けた具体的な進め方を整理できます。
赤字や債務超過でも許可が取れた、実際の相談事例
「本当に大丈夫だろうか…」そう思われる方のために、当事務所で実際に許可取得に至ったご相談者様のケースを2つご紹介します。いずれも、実務上の相談対応に基づく事例です。
事例1:決算書は赤字、でも預金は潤沢だったA社のケース
「先生、うちの会社、もうダメかもしれません…」
血の気の引いたような表情でご相談に来られたのは、A社の社長様でした。元請けから建設業許可の取得を急かされているものの、税理士から受け取ったばかりの決算書が赤字だったため、絶望的な気持ちになってしまったとのこと。
「赤字だと、建設業許可は無理ですよね?」というご質問は、本当によくお受けします。
私はまず、「ご安心ください。許可審査では、会社の損益が赤字かどうかは直接の判断基準にはなりません」とお伝えしました。その一言で、社長の強張っていた表情が少し和らいだのを今でも覚えています。
詳しくお話を伺いながら、問題の「損益計算書」ではなく、会社の財産状況を示す「貸借対照表」を拝見しました。純資産の部は100万円ほどで、このままでは財産要件の500万円をクリアできません。
しかし、私は諦めませんでした。次に「会社の預金通帳はいま、おいくらくらいありますか?」と尋ねたのです。すると、社長から「1,000万円近くはあります」という答えが返ってきました。
この預金残高が、資金調達能力を証明するための重要な要素になります。すぐに銀行で500万円以上の「預金残高証明書」を取得していただき、それを申請書類に添付。結果、何の問題もなく、無事に建設業許可の通知書が届きました。
この事例のように、決算書上の一時的な損益と、会社が実際に保有している資金力は必ずしも一致しないのです。
事例2:「資本金500万円」を誤解していたB社のケース
「うちは設立時の資本金が500万円だから、財産要件は大丈夫ですよね?」
自信を持ってご相談に来られたB社の社長様。しかし、これもまた、建設業許可申請で非常に多い誤解の一つです。
重要なのは登記上の「資本金」の額ではなく、決算書(貸借対照表)の「純資産の部」の合計額。B社の貸借対照表を確認すると、残念ながら度重なる赤字で純資産はマイナス、つまり債務超過の状態でした。
「そんな…」と愕然とする社長様でしたが、ただし、対応できる可能性は残っていました。詳しくヒアリングすると、会社の資金繰りのために社長個人が会社にお金を貸し付けている「役員借入金」が多額に存在することが判明したのです。
そこで私は、決算期前にこの役員借入金を資本金に振り替える「DES(デット・エクイティ・スワップ)」という手法をご提案しました。これは、会社にとっては負債が減り、資本が増強されるという財務改善のテクニックです。
幸い、当事務所は司法書士資格も持っています。私が司法書士として資本金増加の登記手続きを完了させ、最新の決算書をもって建設業許可を申請。こちらも無事に許可を取得することができました。
このように、状況を正しく分析し、適切な手続きを進めることで、許可取得に向けた対応策を検討できる場合があります。

建設業許可の財産要件「500万円」の正しい理解
なぜ、赤字や債務超過でも許可が取れるのでしょうか。それは、建設業法が定める財産要件の趣旨を理解すると明らかになります。
一般建設業許可で求められる財産的基礎は、以下のいずれかを満たすことです。
- 自己資本の額が500万円以上であること
- 500万円以上の資金を調達する能力を有すること
行政がここで見ているのは、「一時期の儲け(損益)」ではありません。「資材の購入や労働者の確保など、請け負った工事を最後までやり遂げるための最低限の体力(資力)がありますか?」という点なのです。だからこそ、赤字決算というだけで即不許可にはならず、2つのルートが用意されているわけです。
ルート1:決算書の「自己資本」で証明する
まず、原則となるのがこの方法です。
「自己資本」とは、法人の場合は貸借対照表の「純資産の部」の合計額を指します。個人事業主の場合は、期首資本金、事業主借勘定、事業主利益の合計額から事業主貸勘定を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金、準備金を加えた額となります。
申請直前の決算書で、この自己資本が500万円以上あれば、財産要件はクリアです。たとえその期の損益計算書が赤字でも、過去からの利益の蓄積(利益剰余金)が十分にあれば、このルートで証明できる可能性があります。まずはご自身の決算書を確認してみましょう。
ルート2:「資金調達能力」で証明する(残高証明書の活用)
自己資本が500万円に満たない、あるいは債務超過である。そのような場合に検討されるのが、こちらの方法です。
「500万円以上の資金調達能力」を証明する実務上よく用いられる方法が、金融機関が発行する「500万円以上の預金残高証明書」を提出することです。
これは、決算書上は自己資本が不足していても、一定額の資金を調達できる能力があることを客観的に示す資料です。たとえ債務超過の状態であっても、この残高証明書を用意できれば、財産要件をクリアし、許可取得に向けて財産要件を満たせる可能性があります。

残高証明書で許可を取るための3つの重要ポイント
「なんだ、500万円を用意して残高証明書を取ればいいだけか」と思われたかもしれませんが、ただし、実務上注意すべき点があります。このポイントを知らないと、せっかく用意した資金が無駄になりかねません。専門家への依頼には、これらのリスクを回避する大きなメリットがあります。
ポイント1:残高証明書には「有効期限」がある
これが最も重要なポイントです。金融機関で発行してもらった残高証明書は、永久に使えるわけではありません。
多くの自治体では、「申請日から遡って1ヶ月以内」に発行されたもの、といった非常に厳しい有効期限が定められています。神奈川県や東京都も同様の基準です。
建設業許可の申請には、役員の身分証明書や登記されていないことの証明書、会社の登記簿謄本、納税証明書など、他にも多くの書類が必要です。これらの書類集めに手間取っている間に、残高証明書の有効期限が切れてしまったらどうなるでしょうか?
この場合、金融機関で残高証明書を再取得する必要があります。一時的に資金を借り入れていた場合には、再度資金を準備し、証明書を取り直さなければならない可能性があります。これは本当に避けたいシナリオです。
ポイント2:「見せ金」はNG!コンプライアンスを遵守する
「証明の日だけ一時的にお金を入れて、翌日にはすぐ引き出して返済する」といった、いわゆる「見せ金」は絶対にやめてください。
行政庁は、不自然な資金の動きに目を光らせています。疑わしいと判断されれば、残高証明書の日付の前後数日間の通帳のコピーの提出を求められることもあります。もし虚偽申請と判断されれば、許可が取り消されるだけでなく、その後5年間は再申請ができなくなるという重いペナルティが課される可能性があります。
親族から借りるなどして資金を用意すること自体が即座に違法となるわけではありませんが、実態のない見せ金は極めてリスクが高い行為です。コンプライアンスを遵守し、正々堂々と申請に臨むことが、結局は会社を守ることにつながります。
ポイント3:申請時期と必要書類の準備スケジュールを調整する
ここまでお読みいただければ、残高証明書を使った申請がいかにタイミング調整の難しい手続きであるか、お分かりいただけたかと思います。
- いつの時点で残高証明書を取得するか?
- 他の必要書類は、いつまでに、どの順番で集めるか?
- 膨大な申請書類を、不備をできる限り抑えて作成できるか?
これらのタスクを、残高証明書のタイトな有効期限内にすべて完了させるのは、建設業許可申請に慣れていない方にとっては至難の業です。
だからこそ、私たち専門家が存在します。申請までに必要な手順を整理し、スケジュールを立てて、お客様には「いつまでに、何をご用意ください」と的確な指示を出すことができます。当事務所の建設業許可申請の料金には、こうしたスケジュール管理やリスク回避のノウハウも含まれています。
資金の準備という一番大変なハードルを越えたのですから、準備した資金や書類を無駄にしないためにも、申請手続きに不安がある場合は、行政書士に相談することを検討してください。
建設業許可申請のスケジュール相談
【注意】特定建設業許可の要件は全く異なります
ここで一つ、重要な注意点があります。これまで解説してきたのは、あくまで「一般」建設業許可に関するお話です。
元請として受注した工事のうち、総額5,000万円以上(建築工事業の場合は8,000万円以上)を下請に出す場合に必要となる「特定」建設業許可の財産要件は、これとは全く異なり、非常に厳しいものとなっています。
具体的には、申請直前の決算において、以下の4つの基準をすべて満たさなければなりません。
- 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万円以上であること
特定建設業許可においては、残高証明書による救済措置はありません。決算書そのものの財務内容が問われるため、もし特定建設業許可を目指すのであれば、税理士とも相談の上、計画的な財務改善が必要となります。ご自身の事業が知事許可と大臣許可のどちらに該当するかも含め、専門家にご相談ください。

まとめ:赤字決算でも財産要件を確認し、申請可能性を検討しましょう
今回は、赤字決算や債務超過という厳しい状況からでも建設業許可を取得する方法について解説しました。
ポイントを振り返ってみましょう。
- 決算書が赤字という理由だけで、建設業許可を諦める必要はない。
- 財産要件は「自己資本」または「資金調達能力」のいずれかで証明すればよい。
- 自己資本が500万円未満でも、「500万円以上の預金残高証明書」でクリアできる。
- ただし、残高証明書には厳しい有効期限があり、申請には緻密なスケジュール管理が不可欠。
財務状況に不安を抱えながら、許可取得というプレッシャーの中で一人で悩み続けるのは、精神的にも非常につらいことだと思います。しかし、正しい知識と手順を踏めば、許可取得に向けた対応策が見つかる可能性があります。
私たち、建設業許認可を中心に取り扱う「行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所」は、財産要件に不安がある経営者様からのご相談に対応しています。まずは一人で抱え込まず、現状をありのままお聞かせください。豊富な経験に基づき、貴社の状況に応じた対応策を一緒に検討します。
最初の一歩は、お問い合わせいただくことから始まります。ご連絡を心よりお待ちしております。
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司法書士・行政書士・社会保険労務士の猪狩佳亮(いがり よしあき)です。地元・神奈川県川崎市を拠点に、中小企業の社長さんのお悩みに耳を傾け、許認可や労務、法律手続きなどの「困った」を一緒に解決しています。3つの資格を活かし、建設業や宅建業の許可、助成金のご相談など、経営の身近なサポーターとして活動中。どんな小さなことでも、まずは気軽にご相談ください。
