「10年分の注文書を集めるの?」社員の学歴を調べたら実務経験3年で済んだ建設業許可の事例

「10年分の注文書、本当に必要?」ある空調工事会社の成功事例

「500万円以上の工事を請け負うには、建設業許可が必要ですよ」
このルールはご存知でも、許可取得の具体的なステップで頭を抱える経営者様は少なくありません。

特に、社内に国家資格を持つ従業員がいない場合、営業所技術者等(旧・専任技術者)の要件を満たすためには、原則として10年以上の実務経験を証明する必要があります。これは、10年分の注文書や請求書、契約書などを探し出し、整理するという、相当な時間と手間がかかる作業です。

先日、ご相談にいらした空調工事会社A社の社長も、まさに同じ課題を抱えていました。
「管工事の許可を取りたいのですが、資格者が社内にいなくて…。10年分の書類を集めるしかないと覚悟はしているんですが、正直、途方に暮れています」

必要書類の多さに負担を感じている社長に、私は別の確認方法を提案しました。
「社長、工業系の高校や大学、専門学校を卒業された従業員さんはいらっしゃいませんか?」

すぐには思い当たらなかった社長でしたが、会社に戻って従業員名簿を確認してくださったところ、一人の従業員Bさんが土木工学科を卒業していることが判明したのです。

結果、どうなったか。
A社は、たった3年分の実務経験を証明するだけで、無事に管工事の建設業許可を取得できました。10年分の書類集めという重労働を回避し、スムーズに申請準備を進めることができたのです。

「まさか社員の学歴でこんなに楽になるとは…」。社長の安堵した表情は、今でも忘れられません。この記事を読んでいるあなたも、A社と同じように、別の確認方法が見つかるかもしれません。これから、そのための具体的な方法を詳しく解説していきます。諦める前に、ぜひ一度、従業員の方の経歴を確認してみてください。

より詳しい実務経験の証明方法については、「営業所技術者等(旧・専任技術者)の実務経験証明に必要な書類」のページで詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

実務経験期間を短縮できる「指定学科」とは?基本ルールを解説

なぜ、A社は10年ではなく3年の実務経験で許可が取れたのでしょうか。その鍵が「指定学科」制度です。
これは、建設業許可の要件で求められる営業所技術者等(旧・専任技術者)について、国が定めた特定の学科を卒業していれば、建設工事に関する一定の知識があると見なされ、実務経験の証明期間を大幅に短縮できるというものです。

10年分の書類集めに比べれば、従業員の卒業証明書を取り寄せる手間は、はるかに少ないはずです。まずは、この基本ルールをしっかりと押さえておきましょう。

建設業許可の専任技術者に必要な実務経験年数を学歴別に比較した図解。大学・高専卒は3年、高校卒は5年、それ以外は10年であることを示している。

大学・高専卒業なら3年、高校卒業なら5年に短縮

学歴によって、短縮される期間は異なります。具体的には、以下の表のように定められています。

学歴必要な実務経験年数
大学・短期大学・高等専門学校の指定学科を卒業3年以上
高等学校の指定学科を卒業5年以上
専門学校の指定学科を卒業(専門士・高度専門士)3年以上
専門学校の指定学科を卒業(専門士・高度専門士に該当しない場合)5年以上
上記以外の場合10年以上
学歴と必要な実務経験年数

このように、大学や高専で指定学科を卒業していれば3年、高校であれば5年の実務経験で済むことになります。これは、取得したい建設工事の種類に対応した専門知識を学校で学んでいることが評価されるためです。

対象は「学校教育法」に定められた学校のみ

ここで非常に重要な注意点があります。それは、「建設系の学校なら何でも良い」というわけではない、という点です。

この制度の対象となるのは、建設業法上の要件に該当する学校区分に限られます。具体的には、学校教育法による高等学校・中等教育学校、大学・高等専門学校、専修学校の専門課程(いわゆる専門学校)などが該当します。

一方で、職業訓練校や各種学校は、学校教育法上の指定学科卒業ルートにそのまま当てはまらない場合があります。また、海外の大学についても国内大学と同じ扱いになるとは限りませんが、学歴や履修内容により国土交通大臣の認定を受けられる場合があります。特に「専門学校」については注意が必要です。学校教育法上の「専修学校の専門課程」の指定学科を卒業していることが前提となり、専門士または高度専門士の称号がある場合は3年以上、称号がない場合は5年以上の実務経験が必要です。

「うちの社員が卒業した学校は対象になるのだろうか?」と少しでも疑問に思ったら、自己判断で進める前に、卒業証明書などを取り寄せて確認することが大切です。

参照:国土交通省「指定学科一覧」

要注意!学科名だけで判断してはいけない理由

「よし、うちの社員は工業高校卒だ!これで5年に短縮できるぞ!」
そう確信するのは、まだ少し早いかもしれません。実は、指定学科の判断は、皆さんが思っている以上に複雑で、専門的な知識が求められます。ここで多くの経営者様がつまずいてしまうのです。

行政が発行する手引きには、指定学科の例が記載されていますが、その学科名と卒業証明書の学科名が完全に一致していなくても認められるケースもあれば、逆に、似たような名前でも認められないケースも存在します。この微妙な判断が、申請の成否を分けることになるのです。

手引きの学科名と完全一致しなくても認められるケース

まず、認められる可能性があるケースを確認します。卒業証明書に書かれた学科名が、手引きの例と一言一句同じでなくても、諦める必要はありません。

例えば、学科名が完全一致しなくても、指定学科として整理されている学科名との関係や、学校・学科の認定状況によって認められる場合があります。また、時代の変化とともに学科名も多様化しています。「土木環境科」や「建築デザイン科」のように、「環境」や「デザイン」といった現代的な名称が含まれている学科でも、その中身が実質的に「土木工学」や「建築学」に関するものであれば、指定学科として認められる可能性は十分にあります。

曖昧な記載の工事経験を証明するのと同じように、学科名もその実態が重要になるのです。

判断の決め手は「履修科目証明書」にあり

では、学科名だけでは判断が難しい場合、行政庁の担当者は何を基準に判断するのでしょうか。
その判断材料となるのが、「履修科目証明書」または「成績証明書」です。

これは、その学生が在学中にどのような専門科目を学び、単位を取得したかを詳細に記録した書類です。担当者は、卒業証明書の学科名と併せてこの証明書を確認し、「土木工学概論」や「建築構造力学」といった具体的な科目名から、申請する工事の種類と関連性があるかを判断します。判断に迷う場合は、事前に申請先の行政庁に照会するとよいでしょう。

行政書士が建設業許可申請のため、卒業証明書と履修科目証明書を確認している様子。専門的な判断の重要性を示唆している。

冒頭のA社の事例では、Bさんの学科名は「土木工学科」でした。管工事業の指定学科には土木工学が含まれているため、卒業証明書や必要に応じた履修科目証明書を確認することで、指定学科に該当する可能性を検討できました。

単に「請負契約」で働いていただけでは実務経験として認められないケースがあるのと同様に、学歴の証明も表面的な名称だけでは不十分なのです。行政庁ごとのローカルルールも存在するため、この判断は非常に専門的です。

卒業校に証明書を請求する際は、「建設業許可申請に利用するため、履修した専門科目が分かる証明書を発行してください」と明確に伝えることをお勧めします。

自分で確認するのは難しい?専門家に相談する3つのメリット

ここまでお読みいただき、「指定学科」制度の可能性と、同時にその判断の難しさもお分かりいただけたのではないでしょうか。

  • うちの社員の学歴は、本当に指定学科に該当するのか?
  • 卒業校への証明書の請求や、行政庁への事前確認はどう進めればいい?
  • もし該当しなかった場合、やはり10年分の書類を集めるしかないのか?

こうした不安や疑問を抱えながら、不確かな情報をもとに手探りで進めるのは、時間的にも精神的にも大きな負担となります。申請準備のやり直しや、予定していた許可取得時期が遅れる可能性があります。

そんな時こそ、私たち専門家にご相談ください。司法書士・行政書士・社会保険労務士が在籍する当事務所にご依頼いただくことで、お客様には3つの大きなメリットがあります。

  1. 該当性の丁寧な調査
    これまでの経験と専門知識に基づき、お客様の従業員の方の学歴が指定学科に該当するかを確認します。履修科目証明書を精査し、行政庁の見解も踏まえた上で、申請に適した方法をご提案します。
  2. 面倒な書類取得と作成の代行
    卒業校への証明書請求のサポートから、複雑な申請書類一式の作成まで、面倒な手続きをすべて代行します。お客様は本業に集中していただけます。
  3. 行政との事前協議によるスムーズな申請
    判断が分かれるような微妙なケースでは、正式な申請前に当事務所が行政庁の担当者と事前協議を行います。論点を整理し、認められる可能性を高めることで、円滑な許可申請につながるよう準備します。

10年分の実務経験証明が必要と思われるケースでも、専門家が要件を確認することで、指定学科や資格など別の方法を検討できる場合があります。当事務所の相談から許可申請までの流れは明確です。まずは「もしかしたらうちも…」と思われたその直感を、ぜひお聞かせください。あなたからのご連絡を、心よりお待ちしております。

建設業許可申請の相談フォーム

 

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0447426194 問い合わせバナー