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「経営者のための助成金情報メルマガ」発行のお知らせ

2023-03-18

当事務所では、このたび「経営者のための助成金情報メルマガ」を発行することにしました。

このメルマガでは、約100種類もある厚生労働省の助成金の中から、「いま狙い目の助成金」について、支給要件や受給できる金額など、知らないと損をする助成金情報を毎週お届けしていきます。

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退職の種類(雇用契約の終了原因)

2023-02-24

従業員の方の退職について、会社側からのご相談は非常に多いです。

ただ、お話を伺っていると、「給料1ヶ月分払えば、解雇できるんでしょ」など、誤解されているなあと思うことが時々あります。

退職には、i次の通りいくつかの種類があります。まずは退職にまつわる様々な問題を考える前提知識として、退職の種類についてお話してみたいと思います。

  • 辞職(従業員からの一方的な契約終了の意思表示)
  • 解雇(会社からの一方的な契約終了の意思表示)
  • 合意退職(会社と従業員の合意による契約終了)
  • 就業規則所定の事由が発生(定年、死亡、休職期間満了など)
  • 【有期雇用の場合】契約期間満了

退職にまつわる問題が起こったら、上記のどれにあたるのか?をまず整理した上で、問題点を検討されるとスムーズです。

ここでは、それぞれの概要について、まずは簡単にご説明します。

辞職(従業員からの一方的な解約)

従業員が「退職届」を会社に提出してやめる、いわゆる自己都合退職がこれにあたります。割とトラブルなく退職が成立しやすいケースといえます。

無期雇用の場合は、従業員が「辞める」という意思表示をすれば、一定期間(原則として2週間)が経過することにより、労働契約は終了します。

有期雇用の場合(たとえば1年契約)は、健康上の問題など「やむをえない」事由がない限り、期間の途中で一方的に会社を辞めることはできません。会社の承諾もなくいきなり出社しないと、会社から損害賠償請求されることもあります。

もっとも、就業規則や雇用契約書に(合理的な)別段の定めがあれば、その定めに従います。

解雇(会社からの一方的な解約)

従業員がどうしても自分から退職せず、それでも会社として辞めさせたい場合は、解雇の手続きを取ることになります。

社長さんの中には、お金さえ払えば簡単に解雇できる、などと思いこんでいる方もいらっしゃいますが、解雇は経営上、かなりリスクの高い行為です。解雇権濫用法理というのがあって、よっぽどの理由が無いと、有効な解雇は難しいとお考えください。

当事務所では、基本的に「できる限り、解雇以外の方法を検討してください」とお話しています。

解雇に関する具体的なリスク、解雇までの流れについては、かなり長い話になりますので、別記事でご紹介します。

合意退職(従業員と会社の合意による解約)

文字通り、従業員と会社が合意の上で、労働契約が終了するケースです。「退職合意書」という書面を作成して、双方が署名捺印するという方法が一般的です。

お互いの合意によるのですから、退職後にトラブルが発生するリスクを限りなく0にすることができます。これが合意退職の1番のメリットです。

とはいえ、従業員からすると会社を辞めるというのは、生活に直結する重大な問題です。その従業員が退職に合意するためには、適切なステップを踏んで話を進めていく必要があります。

雇止め(契約期間満了)

有期雇用契約(1年契約など)の期間が満了したときに、祖の更新をしないで契約を終了させることを「雇止め」といいます。

そもそも契約期間が決まっているのですから、原則的には期間満了でおしまい、ということになるようにも思えます。

しかし、労働契約法では、形式的には有期契約だけど実質的には無期雇用契約と変わりないような場合(たとえば、過去に何度も契約更新をしてきたような契約社員)や、更新することに合理的な期待が認められるような場合には、解雇の場合に準じた対応をすべき、としています。

どのような場合には形式的に期間満了でいいのか、どのような場合に解雇に準じた慎重な手続きをしなければならないのか、については、過去に多くの裁判例が積み重ねられてきました。検討する要素など気をつけるべき点について、別の記事でご紹介します。

従業員の退職問題でお困りなら

当事務所へのご相談で最も多いテーマの1つともいえる、従業員の退職問題。基本的にきちんと書類や証拠をそろえないと、会社の思うような解決に至るのは難しいと言えます。

法律や過去の裁判例をベースにしつつも、1つ1つ事案の内容や従業員の性格、置かれた状況は違うので、個々の事案に応じた柔軟な進め方、落としどころの見つけ方が重要になります。

また、退職に関する問題を解決するには、御社の就業規則や雇用契約、退職させたいと思うに至るまでの経緯を、十分に把握する必要があります。顧問先であれば、常日頃から情報交換やお打合せをさせていただいているので、対応もスムーズです。

それぞれの退職の種類によって、進め方や注意点があります。対応を誤ると大きなトラブルにも発展しかねないので、なるべく早いタイミングでお気軽にご相談いただければと思います。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)よくある質問

2022-10-14

 数ある助成金の中でも長年1番人気といわれるキャリアアップ助成金(正社員化コース)ですが、年々条件が厳しくなり、令和4年10月1日から要件が追加されました。引き続きこの助成金を申請しようとする場合、ほとんどの会社で就業規則の変更が必要になると思います。また、それ以外にもキャリアアップ助成金についてはクライアントから様々な質問をいただきます。

 そこで、キャリアアップ助成金(正社員化コース)についてよくある質問と留意点をまとめてみたいと思います。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の注意点

令和4年10月1日以降の「正社員」の定義

 キャリアアップ助成金は、有期または無期社員(非正規社員)から正社員へ転換することに対して支給されるものです。この対象となる転換後の「正社員」といえるための条件として、
 ・「昇給」に関する規定が就業規則にあること
 ・「賞与または退職金の制度」が就業規則にあること

が追加されました。この規定の方法については、「原則として昇給(賞与支給)する」ことが明確に読み取れなければなりません。たとえば「会社の業績によって賞与を支給することがある」「会社の判断により昇給することがある」では、支給するかしないか不明瞭なのでアウトということです。

 もっとも、賞与支給に関する就業規則があるからと言って、実際には業績悪化等により賞与を支給できないケースもあると思います。そのような場合は、助成金申請時に賞与不支給に関する説明が求められることになります。

令和4年10月1日以降の「非正規社員」の定義

 キャリアアップ助成金は、有期または無期社員(非正規社員)から正社員へ転換することに対して支給されるものです。この「非正規社員」にといえるためには、

 賃金の額または計算方法が正社員と異なる就業規則の適用を6か月以上受けている

が必要になりました。具体的には、「正社員が月給、非正規社員が時給」や、「正社員には賞与を支給し、非正規社員には賞与を支給しない」などの規定ぶりが考えられます。

正社員転換後に試用期間があってはダメ

 令和4年9月30日までは、試用期間があっても賃金が低くなければ助成金の支給対象になっていました。令和4年10月1日以降は、正社員への転換後に試用期間を設けると、助成金の対象となる「正社員」とはみなされず、助成金は不支給になります。

 このような事態を避けるため、就業規則に「正社員転換した者には試用期間は設けない」などの規定を盛り込んでおくとよいと思います。

正社員転換して6か月経過し、その後退職した場合は対象となるか

 非正規社員6か月→正社員に転換(賃金3%アップ)→正社員として6か月勤務→助成金申請前に退職

 の場合、キャリアアップ助成金は申請できるか、というご質問がよくあります。

 この場合、自己都合退職であればキャリアアップ助成金は支給されます。解雇など会社都合の場合は支給されません。この場合は退職届が添付書類になりますので、自己都合退職者からは退職届を提出させておきましょう。

求人募集を出す場合の注意点

 キャリアアップ助成金は、入社時からもともと正社員採用を約束していた場合は支給されません。「最初の6か月だけ契約社員ということで了解してほしい、6か月たったら正社員にするからさ」という約束が最初からある場合はダメだということです。

 この条件をクリアするため、あるいはこうした約束があったと誤解されないためには、求人募集の記載に注意が必要です。正社員求人の中に「契約社員採用もありうる」等の注意書きをしておくとよいかもしれません。

業務委託などで過去働いていた人は対象外

 正社員転換の前3年以内に、キャリアアップ助成金を申請しようとする会社または関連会社で業務委託、請負などとして働いていた場合、その後に非正規社員として入社し正社員転換しても、キャリアアップ助成金は支給されません。最近、フリーランスなどの働き方が増えており、フリーランスから雇用契約に切り替えるような場合は要注意です。

就業規則をきちんと整備することが重要

 キャリアアップ助成金(正社員化コース)の注意点をいくつか見てきました。これ以外にも、いざ申請しようとすると疑問点が多々出てくると思います。また別の機会に紹介していきますし、ご質問がありましたら無料相談でお問い合わせください。

 令和4年10月1日の改正にきちんと対応するためには、とにかく就業規則を的確に改正することが重要なポイントになります。今回紹介した以外にも、就業規則の規定漏れで不支給になるケースが今後多発すると予想されます。当事務所では、厚生労働省から出されたQ&Aを読み込み、要件に対応した就業規則の変更に対応しております。どうぞお気軽にご相談ください。

  


建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録に必要な書類①(技能者登録)

2022-05-17

 前回、建設キャリアアップシステム(CCUS)の制度の概略についてご説明しましたが、今回からは、具体的な申請手続きについて、特に必要書類についてご説明します。CCUSの登録には、事業者登録、技能者登録などがありますが、今日はもっとも分量の多い技能者(現場で工事業務に従事する人)の登録を取り上げます。

1 本人確認書類

日本国籍の方

次のいずれか1点が必要になります。

  ・運転免許証
  ・マイナンバーカード
  ・パスポート+住民票

外国籍の方

次のいずれか1点が必要になります。

  ・在留カード
  ・特別永住者証明書
  ・パスポート+住民票

 なお、日本国籍、外国籍とも、上記のいずれも用意できない場合は、「住民票+健康保険証」で申請することも可能ですが、この場合はインターネット申請ができず窓口申請となります。

2 顔写真

 登録完了後に発行されるキャリアアップカード用に使用されます。一般的な証明写真と注意点はほぼ同じですが、次の点にご注意ください。  

  ・スマートフォンで撮影したものでも大丈夫です。

  ・正面を向いたもの、脱帽、マスクやサングラスは不可

  ・背景は無地(青や淡いグレーの背景)   

  ・形式はjpg形式でご用意ください。

3 社会保険等の加入証明書類

健康保険

 健康保険被保険者証

 *記号番号、保険者番号、QRコードはマスキングする必要があります。

年金保険(厚生年金の場合)

 次のいずれか1点が必要です。

  ・健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額決定通知書
  ・厚生年金等加入証明書

 通常は、標準報酬決定通知書が会社に保管されていると思います。

年金保険(国民年金)

 次のいずれか1点が必要です。

  ・年金手帳
  ・ねんきん定期便
  ・領収済通知書(納付書)

 *いずれの場合も、基礎年金番号はマスキング(黒塗り)します。

雇用保険

 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主用)

 *雇用保険加入時に発行されるものです。

中小企業退職金共済制度(中退共)*加入している場合

 中小企業退職金共済手帳

建設業退職金共済制度(建退共)*加入している場合

 中小企業退職金共済手帳

労災保険特別加入

 特別加入は、中小企業の役員、個人事業主、一人親方等の方のための労災保険です。特別加入されている方については、次のいずれかの書類が必要です。 

 ・労災保険 特別加入証
 ・労災保険 特別加入証明書
 ・労災保険 特別加入申請書(受付印のあるもの)

4 資格や研修受講などの証明書類

 建設業に関する資格を保有していたり、研修受講歴がある場合は、その証明書類が必要です。

 ・登録基幹技能者講習修了証
 ・免許証、資格証、合格証、免状、技能講習修了証、特別教育修了証、安全衛生教育修了証など
 ・研修受講証明書類
 ・表彰証明書類
 ・指定学科での学歴+実務経験で主任技術者になる方は、卒業証明書(卒業証書とは異なります)

まとめ

 建設キャリアアップシステムの技能者登録に必要書類をご紹介しました。ご覧いただいてお分かりのとおり、通常の労務管理をしている会社であればそれほど難しい書類はありません。

 ただ、一部

 ・マスキング(黒塗り)する必要がある
 ・表裏のコピーが必要なものと表面のみ必要なものがややこしい
 ・有効期間に注意しなければならない

など、細かい点の注意ポイントがたくさんあり、ご自身で実際に申請手続きしようとすると、かなり面倒です。必要書類のコピーさえご提供いただければ、あとは当事務所がすべて代行申請いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録はお済みですか?

2022-05-02

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

 建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、建設業に従事する技能者の経験、資格、技能、社会保険加入状況などの情報を登録・蓄積し、技能者の能力とキャリアを見える化するためのシステムです。国土交通省が推進し、平成31年4月より本格運用が開始されています。

建設キャリアアップシステム(CCUS)ができた背景

 現在の建設業就労者の状況を見ると、若者の入職者が減少しており、人材の高齢化が進んでいます。就業者の減少により、外国人労働者などに頼らざるを得ない状況であり、このままだと将来的に建設業の基盤が崩れてしまいかねません。

 また、建設業の年齢別賃金を見ると、40歳代でピークを迎え、その後は賃金額が減少していく傾向にあります。

 こうした状況下で、若者が建設業という仕事を選択してもらうには、建設業が魅力的な職業、産業であることを示す必要があります。

 建設業の特徴として、技能者が異なる事業者のさまざまな現場で仕事をするため、そうした経験によるスキルアップを統一的に評価することが難しいという問題があります。こうした状況を改善するため、技能者のスキル・キャリアを「見える化」し、ひとりひとりの技能者の経験や資格、技能に関する情報を一元化することを目的として、建設キャリアアップシステム(CCUS)が設計されました。

 後述するように、技能者にも事業者にもメリットが見込まれます。国土交通省によると、令和5年4月にはすべての工事でCCUSを導入することを目指すとされています。

建設キャリアアップシステム利用の流れ

1 事業者(建設業者)の情報をCCUSに登録

  会社名、所在地、資本金など基本情報を登録します。

2 技能者(建設業労働者など)の情報をCCUSに登録

  本人の個人情報(氏名、住所等)、所属事業所、保有資格、研修受講履歴、社会保険加入状況などを登録します。登録後にICカードが送られてきます。

3 元請業者が工事現場の情報をCCUSに登録

  現場名、工事内容などを登録します。また、その後に下請け業者とともに施工体制を登録します。

4 現場で技能者がICカードをカードリーダーにタッチ

  これにより、就業状況がカードに登録されます。

建設キャリアアップシステム利用のメリット

技能者のメリット

1 適正な評価、賃金を得ることができる

 ICカードに就業記録や保有資格、職長経験などが登録されることにより、1枚のカードで建設業における実力を客観的なデータで証明できることになります。適正な評価を得ることで、適正な賃金につながるといえます。

2 建退協(建設業退職金共済事業本部)の適切な積立てが可能になる  

 ICカードにより就業日数が明確に記録されるため、建退協の退職金に関する手続きがスムーズになります。

事業者側(建設業者)のメリット

1 技術力を対外的に証明できる

  会社に所属する技能者の能力を客観的に証明できるので、元請業者や施工主、取引先に対して会社の実力をアピールすることができます。エビデンスに基づく価格交渉も可能になると考えられます。

2 人材確保につながる   

  良い技能者が多い会社は、新たな入職希望者へ「キャリアアップできる会社」としてその魅力をアピールすることができ、優秀な人材の確保につながると考えられます。

建設キャリアアップシステムへの登録はお任せください 

 メリットの多い建設キャリアアップシステムですが、利用開始までの登録作業(事業者登録、技能者登録)はかなり面倒な作業になります。登録に必要な書類などは次回以降、あらためてご説明していきたいと思います。

 この面倒な登録作業がCCUS利用のハードルとなっていることを受け、令和4年2月より、行政書士による登録代行の制度がスタートしました。当事務所でも建設キャリアアップシステム登録代行を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

両立支援助成金(子育てパパ支援助成金)の変更について②

2022-03-30

 男性労働者が育児休業を取得することを支援する「両立支援等助成金 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」が、令和4年4月から変更になります。
 前回のコラムでは、支給額や支給回数が令和3年度より減少すること、育児介護休業法の改正に合わせて支給要件も変更になること(複数の雇用環境整備措置を実施)などについてご説明しました。
 今回は、今回新設される「男性労働者の育児休業取得率が上昇した場合の助成金」(第2種)についてご説明します。

3年以内に男性の育休取得率30%以上アップで支給される

 単発で1人が育児休業を取得するだけでなく、会社全体として育児休業取得率を上昇させることにより追加で助成金が支給されます。
 主な受給要件と支給額は、以下の通りです。

支給要件

(1)「第1種」の子育てパパ支援助成金の支給を受けていること

 「第1種」というのは、前回ご説明した、育児休業を5日以上連続して取得すると支給される20万円の助成金のことです。

(2)育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること

 前回のコラムでもご説明しましたが、育児休業に関する研修、相談窓口の設置、育児休業を取得した従業員の事例紹介、育休促進方針の周知のうち2つ以上の実施が必要になります。

(3)育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること。

(4)男性労働者の育児休業取得率が、「第1種」の支給を受けてから3事業年度以内に30%以上上昇していること。

(5)育児休業を取得した男性労働者が、「第1種」の申請に係る者の他に2名以上いること。

助成金額

  「第1種」の助成金の支給を受けてから育児休業取得率が30%以上上昇するまでの年数によって、次のとおり支給されます。

 ・1年以内の場合:60万円(75万円) 
 ・2年以内の場合:40万円(65万円) 
 ・3年以内の場合:20万円(35万円)

  ※(  )内は、生産性要件を満たした場合の支給額です。

まとめ

 新設された子育てパパ支援助成金(第2種)についてご説明しました。

 簡単に言うと、3年以内に男性労働者の育休取得率を30%以上にするともらえる助成金です。この30%以上の計算方法や代替労働者に関する規定の具体的な内容は、4月以降に支給要領が公表されると思いますので、情報を入手次第、コラムなどで改めてお知らせします。

 国としては、社会全体として男性労働者の育児休業取得を促進したいという方針があり、このような助成金制度を新設したものと思われます。
 この助成金を狙おうと思うと、会社としては、たまたま1人の男性労働者に育休を取得させるだけではなくて、その試みを継続的に行っていくこと、また代替要員などに関する制度設計も求められます。ただ、5日間という短期間でもパパを子育てに参加させてあげることで、仕事と家庭との両立を支援できますし、結果として従業員の会社に対する満足度も上がると思います。

 個人的に私も2人の子どもの父親ということもあり、この助成金は積極的にご提案していきたいと考えております。ご興味のある会社や個人事業主の方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

両立支援助成金(子育てパパ支援助成金)の変更について①

2022-03-24

 男性労働者の育休取得促進を目的として人気の「子育てパパ支援助成金」の内容や支給額が、令和4年度から変更になります。

支給額の変更(減額)

 まずは最も気になる支給額についてです。
 令和3年度は、5日以上の育休取得について1人目は57万円(さらに追加で5日の育児目的休暇を取得すると+285,000円)とかなり高い支給額でした。しかも金額は少ないものの1事業主あたり10人まで支給されていました。
 これが令和4年度は支給額が20万円、しかも1事業主1回限りとかなり減額となります。また、育児目的休暇による助成金は廃止となります。もともとの金額(57万円)が高すぎたとも言えますが、ちょっと残念な気はしますね。それでも、引き続き魅力のある助成金だとは思います。

代替要員加算(新設)

 その分、育児休業取得者の業務を代替する社員を新規採用(派遣を含む)した場合には助成金額が加算されます。加算金額は20万円、代替要員3人以上の場合は45万円です。

助成金受給要件の変更

パパ育児支援助成金の受給要件に、次の要件が設けられました。

育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること。

 先日のコラムでご紹介した、育児休業に関する令和4年4月改正を受けたものです。研修、相談窓口の設置、育休取得した社員の事例紹介、育休促進方針の周知の4つのうち、法律上は1つ実施すればよいのですが、助成金受給のためには複数(2つ以上)の実施が必要になります。

育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること。

 上記で説明した、20万円または45万円の代替要員加算を受ける場合の要件になります。

まとめ

 令和4年度から実施される、パパ育児支援助成金の変更についてご説明しました。

 ・支給額が20万円と減少、回数も1事業主1回限りに変更
 ・代替要員加算(20万円~)が新設。
 ・令和4年4月改正法で定められた雇用環境整備措置を2つ以上実施が必要。

 金額の減少は正直なところ残念ですが、依然として弾性労働者の育休促進による子育て支援は重要な課題と言えます。
 また、次回のコラムで詳しくご紹介しようと思いますが、事業主全体として男性労働者の育児休業取得率が上昇した場合にはさらに助成金が追加で支給されることになります。
 全体としては、パパ育児支援助成金はなお魅力的な助成金だと思いますので、引き続きご案内していきたいと思います。

【令和4年4月~改正】育児休業制度が変わります

2022-03-11

  令和4年4月1日から、育児介護休業法が順次改正になります。

 主には、近年の少子化を受けて、子育てをしやすくするために働くパパ、ママが育児休業を取得しやすくすることを目的とした改正です。

 改正は、令和4年4月、令和4年10月、令和5年4月と3段階に分けて行われるのですが、今回は間近に迫った令和4年4月の改正内容についてご説明します。就業規則の変更など具体的な対応が必要なものがありますので、まだ未対応の事業所があれば参考にしていただければと思います。

1 育休を取得しやすい雇用環境整備の義務化

 令和4年4月から、次に掲げる4つのいずれか1つ(できれば複数が望ましい)の実施をすることが義務付けられます。
 3月中に、どの措置を講じるかを1つ以上選択し、その準備をする必要があります。会社ごとの事情にもよるとは思いますが、管理職への研修や相談窓口の設置が比較的取り組みやすい気がします。

①育児休業に関する研修の実施

 育児休業の基本的な内容、用語や手続きの流れについて説明する研修会を実施することが求められます。
 全労働者を対象とした研修が望ましいが、少なくとも管理職は全員対象とすることとされています。管理職が部下から育休取得の希望があった際に、適切に対応できるようにという趣旨だと思われます。

②育児休業に関する相談体制の整備

 育休に関する相談窓口を設置し、労働者への周知をすることが求められています。
 具体的には、相談窓口の連絡先や相談方法について貼りだしたり社内イントラで周知するイメージです。ただそのような形式だけではなく、実務的な対応が可能な相談窓口が必要とされています。
 人事部、総務部といった部署で相談窓口になるイメージなのでしょうが、中小企業で人員が限られていればあれば社長みずから相談を受けるということもあるかもしれません。

③自社の育児休業取得事例の収集・提供

 社内で実際に育休を取得した従業員の事例を、社内報やイントラなどで他の従業員に紹介するというものです。原則として男女双方の事例を紹介することが望ましいが、いずれかの事例がなければ一方のみでも差し支えありません。

④労働者への育児休業の制度と促進に関する方針の周知

 社長名で「育休を積極的に利用しましょう!」という会社としての方針を全社員に呼び掛けたり、育休制度の内容について、書類の配布、ポスター貼り出し、イントラ等等の方法で周知することが必要です。

2 妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の義務

 会社が従業員から、本人または配偶者の妊娠・出産の報告を受けた場合は、育休制度の内容を個別に説明し、育休を取得するかどうかの意向を確認することが義務付けられました。
 具体的には、次の4点をすべて説明する必要があります。

①育休制度の内容など

 育休制度の対象者、期間、申出期限など、基本的な内容について説明します。制度の概要をまとめた書面を用意するか、就業規則や育児休業規程などが社内にあれば、それらの規則類を示しながら説明するとよいと思います。

②育休の申出先

 育休取得を申請する場合の連絡先です(人事部、総務部、直属の上司など)。

③育児休業給付について

 雇用保険から育休給付がもらえることやその金額(支給率)、手続きの流れや必要書類など

④育休中の社会保険料の取り扱いについて

 育休期間中は、申請すれば基本的に社会保険料は免除されること、免除の要件など。令和4年10月から免除要件が変わりますのでそれも踏まえた内容にするとよいでしょう。

3 入社1年未満の有期社員(パート、契約社員など)の育休取得要件の緩和

 令和3年3月までは、入社1年未満の有期契約労働者は育休を取得できませんでした。このことを就業規則に記載されている会社は多いと思います(多くのひな型が、そのようになっています)。
 ところが4月からは、「入社1年未満」の条件が撤廃されます。そこで、「入社1年未満の有期社員は育休を取得できない」と就業規則に定められている場合には、この就業規則変更が必要になります。1度、御社の就業規則を確認してみてください。

 なお、二転三転してややこしいのですが、法改正の後も、「労使協定」を作成すれば、入社1年未満の有期契約労働者を育休の対象から除外することができます。法律上の要件は変わりましたが、もし入社1年未満の有期社員に育休を与えるのに抵抗がある場合は、労使協定の締結をおすすめします。

まとめ

 令和4年4月からの育休制度の改正についてご説明しました。

 まとめると、

 ・研修や相談窓口の設置など、育休の環境整備
 ・妊娠等の申出があった場合には、育休について個別に説明し意向確認
 ・入社1年未満のパート社員等について育休取得条件の改正への対応が必要

 の3点になります。

 研修や個別の説明が必要と言われても、育休制度をよく理解していないと自社ではなかなか難しいかもしれません。誤って「ウチの会社には育休なんてないよ」なんて言ってしまうと大問題になりかねません。
 当事務所では、法改正に伴う規程や社内書式の整備、育休に関する研修講師、個別の意向確認への立会い、就業規則変更のサポートなど、育児介護休業法の改正に関する様々なご相談を承っています。お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。

従業員が新型コロナ陽性や濃厚接触者になった場合の対応方法

2022-03-05

 令和4年3月時点で、新型コロナウイルスの第6波はピークを越えつつあるものの、なお一部の都道府県ではまん延防止等重点措置が適用され、1日に数万人の新規感染者が報告されています。

 このような状況下で、顧問先の社長から「社員が新型コロナ陽性や濃厚接触者になった。どう対応すべきか」というご相談がかなり多く寄せられています。 そこで、改めて従業員が陽性、濃厚接触者になった場合の対応、特に休業手当の支払いなど従業員の所得補償の方法についてご説明します。

1 従業員が新型コロナウイルスに感染した場合

コロナ陽性者は就業禁止

 PCR検査の結果新型コロナ陽性と判定された場合、法律上その従業員は就業させることはできません(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第18条)。これは無症状であっても同様です。

休業手当は支給不要。雇用調整助成金も対象外

 就業できない以上、会社としては休業手当(平均賃金の60%以上。労働基準法第26条)を支払う必要はありません。また、休業手当を支払う必要がないため、雇用調整助成金の支給対象外となります(雇用調整助成金FAQ(令和3年12月21日現在版)04-03)。

コロナ陽性者には傷病手当金か有給休暇で対応する

 新型コロナ陽性となった従業員に対しては、健康保険の傷病手当金が支給されます。標準報酬額の3分の2が支給されますので、会社としてはこの傷病手当金の申請をしてあげるとよいでしょう。
 または、従業員から有給休暇取得の申出があればこれを取得させ、通常の賃金を支払うことになります。

2 従業員が濃厚接触者と認定された場合

濃厚接触者は会社指示により出社制限すべき

 濃厚接触者と認定されればその社員を出社させることはまずないでしょう。ある統計では、濃厚接触者の従業員に対しては9割以上の事業者が会社指示により出社を制限しています。また各自治体からも、濃厚接触者には不要不急の外出自粛が要請されています。
 ほかの従業員の健康を守るためにも、濃厚接触者と認定された従業員は出社させないことが望ましい対応と考えられます。

在宅勤務の可能性を検討する

 いわゆる濃厚接触者はあくまで接触者であって、コロナに感染しているとは限りません。健康状態に問題なければ、在宅勤務させることができないかを検討しましょう。

在宅勤務が難しければ、休業手当の支払いを検討する

 業務の性質上、在宅勤務が難しい場合には、休業手当の支払いを検討します。厳密にいうと、濃厚接触者に対して休業手当の支払いが法律上必要かどうかは悩ましい(事例ごとに判断すべき)ところですが、一方で濃厚接触者の休業については雇用調整助成金の対象となるとされています。要件さえ満たせば、休業手当を支払った上で雇用調整助成金の支給申請をするというのがおすすめの対応策です。
 なお、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)4-問1」では、「自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、休業手当の支払いが必要となる」と述べており、もし休業手当の支払いをしないという判断をするには、少なくとも上で述べた在宅勤務の検討は必須条件といえます。

有給休暇で対応する

 濃厚接触者である従業員から有給休暇取得の申出があればこれを取得させ、通常の賃金を支払うことになります。特に雇用調整助成金の要件を満たさない場合、この有休による対応も実務的にはよく見られるところです。

3 まとめ

 従業員が新型コロナ陽性や濃厚接触者になった場合の対応方法についてご説明してきました。まとめると 

  ・新型コロナ陽性者の場合、傷病手当金か有給休暇で対応
  ・濃厚接触者の場合、休業手当を支払い助成金を受給するか、有給休暇で対応  

 という方向性になると思います。

 個別の事例ごとの判断や、傷病手当金支給申請、雇用調整助成金支給申請についてお悩みがあれば、お気軽に当事務所までご相談ください。

 最後になりますが、1日も早い新型コロナの終息を心よりお祈り申し上げます。

働き方改革セミナー講師をつとめました

2022-01-27

1月19日、20日に横浜産貿ホールで開催された「第49回喫茶・スナック・レストランフェア」(主催:神奈川県喫茶飲食生活衛生同業組合様)において、働き方改革についてのセミナー講師をつとめました。

会場では、喫茶・スナック・レストランフェア というだけあって、チーズケーキや鎌倉ハムなど、美味しそうな商品販売が行われていましたが、その一角で短時間のミニセミナーという感じでした。

このセミナーでは、残業時間の上限規制、36協定の作成方法、令和5年4月から月60時間以上の残業については割増賃金50%になること、年次有給休暇の取得義務、労働時間の客観的な把握義務など、働き方改革の中で最重要テーマともいえる「労働時間規制」を中心にお話させていただきました。

神奈川県ではまん延防止等重点措置適用の直前というタイミングでしたが、多くの方にお集まりいただき、感謝しております。

当事務所では、さまざまなテーマでのセミナー講師のご依頼もお受けしております。一方的にお話しするよりは、少人数で対話形式の方が得意ですが、可能な限りニーズにお応えします。

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