とび・土工だけではもったいない!2級土木施工管理技士で8業種を同時取得した事例

2級土木施工管理技士、とび・土工の許可だけで満足ですか?

「うちの会社には2級土木施工管理技士がいるから、まず『とび・土工・コンクリート工事』の許可を取ろう」

今まさに、このように考えて建設業許可の準備を進めていらっしゃらないでしょうか。もちろん、事業に直結する許可を取得することは非常に重要です。しかし、その資格で要件を満たせる業種を一つだけに限定して申請すると、将来必要になる業種を後から追加する手間や費用が発生する可能性があります。

多くの経営者様が、目の前の「特定の業種許可」という課題に集中するあまり、その資格が持つ本当の価値、つまり取得可能な他の業種について見落としてしまいがちです。

実は、2級土木施工管理技士の資格は、「とび・土工・コンクリート工事」以外にも複数の業種で専任技術者の要件を満たせる場合があります。そして何より重要なのは、最初の新規申請のタイミングであれば、複数の業種を同時に申請しても、行政に支払う手数料は1業種の場合と変わらないケースがほとんどだという事実です。

この記事では、その「もったいない」状況を回避し、将来的な追加費用や手続負担を抑え、事業展開の選択肢を広げるための具体的な方法を、実際の事例を交えながら解説します。建築一式工事以外で税込500万円以上の工事を請け負う場合など、建設業許可が必要となる場面で知っておくべき知識を解説します。

【事例】とび・土工の相談が、追加費用なしで8業種同時取得につながった話

先日、川崎市で事業を営むA社の社長から、こんなご相談をいただきました。
「とび・土工工事業の許可を、なるべく早く取得したいんです」

お話を伺うと、社内には2級土木施工管理技士の資格を持つ従業員の方がいらっしゃるとのこと。これは心強いお話です。早速、その方の資格証を拝見させていただきました。記載されていた種別は「土木」。この資格があれば、A社がご希望の「とび・土工・コンクリート工事」の専任技術者になるための要件は、問題なくクリアできます。

しかし、私の仕事は、ただ言われた通りの書類を作ることではありません。お客様の未来の事業展開まで見据え、その可能性を最大限に引き出すご提案をすることです。私はA社の社長に、こう問いかけました。

「社長、この資格で、とび・土工以外にも追加で申請できる業種があります。解体工事業については、合格年度等によって登録解体工事講習の修了または解体工事に関する実務経験が必要になる場合がありますが、要件を満たせば合計8業種を同時に申請できます。」

社長は、本当に驚かれた様子でした。「え、本当ですか?」と。

私は、その資格が持つポテンシャルを丁寧にご説明しました。2級土木施工管理技士(土木)の資格は、とび・土工・コンクリート工事のほかに、土木一式工事、石工事、鋼構造物工事、舗装工事、しゅんせつ工事、水道施設工事、そして解体工事業という、合計8つの業種で営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。ただし、解体工事業については、合格年度等によって登録解体工事講習の修了または解体工事に関する実務経験が必要になる場合があります。

そして、最も重要なポイントをお伝えしました。
「新規で許可を申請する場合、1業種でもこの8業種すべてでも、神奈川県に支払う審査手数料は9万円で変わりません。もちろん、当事務所の報酬も8倍になるわけではありません。もし将来、他の業種が必要になってから追加しようとすると、その都度、県の審査手数料5万円と申請の手間がかかってしまいますよ」

このご提案に、社長は即決されました。「ぜひ、全部お願いします!」と。

建設業許可の専門家が、2級土木施工管理技士の資格証を元に、経営者に複数業種同時取得のメリットを説明している相談風景。

結果として、A社は当初の目的だった「とび・土工・コンクリート工事」だけでなく、将来の事業拡大に活用できる合計8業種の許可を、追加の審査手数料なしで一度に取得されました。これは、お客様の状況を深くヒアリングし、資格の価値を最大限に引き出す視点があったからこそ実現できた事例です。

2級土木(種別:土木)で同時取得できる8業種の一覧と工事内容

A社の事例でご紹介したように、2級土木施工管理技士の資格者証の種別が「土木」の場合、一般建設業許可において以下の8業種の専任技術者になることができます。建設業許可の29業種ありますが、この資格一つでこれだけの範囲をカバーできるのは大きな強みです。

具体的にどのような工事がそれぞれの業種に含まれるのか、将来の事業展開をイメージしながら確認してみましょう。

業種名工事内容の例
土木一式工事総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(例:道路工事、河川工事、橋梁工事など)
とび・土工・コンクリート工事足場の組立て、掘削、コンクリート打設、基礎工事、くい打ちなど
石工事石材の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事(例:石積み、コンクリートブロック積みなど)
鋼構造物工事形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事(例:鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事など)
舗装工事道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事
しゅんせつ工事河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事
水道施設工事上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事、又は公共下水道の処理設備を設置する工事
解体工事業工作物解体工事
2級土木施工管理技士(土木)で取得可能な8業種

これらの業種は、一見すると無関係に思えるかもしれません。しかし、例えば「とび・土工」の現場で基礎工事を行っていれば、将来的に元請けとして「土木一式」の工事を受注する道が開ける可能性があります。また、道路工事に関連して「舗装工事」や「水道施設工事」のニーズが生まれることも十分に考えられます。

「今は関係ない」と思っていても、数年後には主要な事業の一つになっている可能性があります。その時に慌てて業種追加をするのではなく、可能性のある業種をあらかじめ取得しておくことこそ、ビジネスチャンスを逃さないための賢明な経営判断と言えるでしょう。

参照:建設業許可制度に関する国土交通省の解説

なぜ同時申請は費用面で有利なのか?費用と手間を比較

「将来必要になったときに追加すれば良いのでは?」という疑問も、もっともです。しかし、そこには明確なコストの差が生まれます。「費用」と「手間」という2つの観点から、なぜ新規申請時にまとめて業種を取得すべきなのかを具体的に見ていきましょう。当事務所の料金体系と合わせてご検討いただくことで、より具体的なイメージが掴めるはずです。

建設業許可の新規申請と業種追加の費用比較図。新規で8業種同時申請なら9万円、後から7業種追加すると合計44万円の費用がかかることを示している。

新規申請なら同じ許可区分で複数業種を同時申請しても手数料は9万円

建設業許可を初めて取得する「新規申請」の場合、知事許可であれば、都道府県に支払う法定手数料は9万円です。
そして、ここが重要なポイントですが、この手数料は申請する業種が1つであっても、今回ご紹介した8業種をまとめて申請しても、金額は一切変わりません。

つまり、取れる業種をまとめて申請した方が、1業種あたりの法定手数料負担は小さくなります。同じ9万円を支払うのであれば、将来の可能性まで含めて最大限の業種を取得しておくことが、いかに経済合理的であるかお分かりいただけると思います。

より詳しい区分については、知事許可と大臣許可の違いをご覧ください。

後からの「業種追加」は1回5万円と大きな手間がかかる

一方、「とりあえず、とび・土工だけでいいや」と1業種だけで許可を取得したとします。その数年後、事業が拡大し、「やはり舗装工事の許可も必要だ」という状況になったらどうなるでしょうか。

この場合、「業種追加」という手続きが必要になり、1回の申請ごとに5万円の法定手数料がかかります。

もし、2級土木施工管理技士(土木)で取得できたはずの残り7業種を、将来的に1業種ずつ7回に分けて追加していくとすれば、

5万円 × 7回 = 35万円

もの追加手数料が発生してしまう計算になります。これは非常にもったいない出費です。

さらに、コストは手数料だけではありません。その都度、申請書類を作成し、役所の窓口へ提出するという手間と時間がかかります。もし専門家に依頼すれば、その分の報酬も申請のたびに必要です。業種追加は、目先の判断が将来的な大きなコスト増につながる典型的な例と言えるでしょう。

注意!専任技術者になるためには「常勤性」が必要

ここまで、2級土木施工管理技士の資格で多くの業種が取得できるメリットをお伝えしてきましたが、一つ重要な注意点があります。それは、専任技術者になるための「常勤性」という要件です。

単に資格を持っているだけでは不十分で、その技術者が許可を受けようとする営業所に常時勤務していることが必要条件となります。いわゆる「名義貸し」が固く禁じられているのはこのためです。

建設業許可の専任技術者に必要な「常勤性」を説明するイラスト。オフィスで働く人物と、証明書類としての健康保険証のアイコンが描かれている。

常勤性は、申請先自治体の手引きに基づき、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写しなど、所定の確認資料で証明します。そのため、専任技術者になる方については、社会保険の加入状況や雇用関係を確認できる資料を、申請先自治体の手引きに沿って準備する必要があります。

あなたの会社の可能性を最大化するために、今すぐ専門家へ

この記事を通じて、「欲しい業種」だけを見るのではなく、「持っている資格で取得できる業種は何か?」という視点を持つことの重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。

新規申請というタイミングは、将来の事業展開の可能性を、最小限のコストで最大限に広げる絶好の機会です。このタイミングで取得可能な業種を確認しておくことが重要です。

「うちの技術者が持つ他の資格では、他にどんな業種が取れるんだろう?」
「このまま1業種だけで申請して、本当に損はないだろうか?」

もし少しでもそう感じられたなら、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。私たちの役割は、ただ言われた通りの申請書を作成することではありません。お客様の会社の状況を丁寧にヒアリングし、そのポテンシャルを最大限に引き出すための最適な許可取得プランをご提案することです。

御社に在籍されている技術者の方の資格情報をお教えいただければ、取得可能な建設業許可の業種をすべて洗い出し、無料で診断いたします。まずは許可申請までの流れをご確認いただき、お気軽にお問い合わせください。

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