Author Archive

赤字・債務超過でも建設業許可は取れる!残高証明書の活用法

2026-08-10

【結論】決算書が赤字でも建設業許可は取得できます

「直近の決算が赤字になってしまった…」「債務超過の状態だけれど、元請けから建設業許可を取るように言われている…」

このような状況で、建設業許可の取得を諦めかけてはいませんか?

ご安心ください。結論から申し上げますと、たとえ決算書が赤字であっても、債務超過の状態であっても、建設業許可を取得できる道はあります。

はじめまして。川崎市で建設業許認可を取り扱う「行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所」代表の猪狩 佳亮です。これまで、財務状況に不安を抱える多くの経営者様から同様のご相談を受け、無事に許可取得までサポートしてまいりました。

建設業許可の審査で問われるのは、一時期の「損益」ではありません。「請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用があるか」という点です。そして、それを証明する方法は一つではありません。

この記事では、なぜ赤字でも許可が取得できるのか、その具体的な方法、特に「預金残高証明書」という切り札をどのように活用するのかを、実際の相談事例を交えながら分かりやすく解説していきます。最後までお読みいただければ、赤字決算や債務超過の場合に確認すべきポイントと、申請に向けた具体的な進め方を整理できます。

赤字や債務超過でも許可が取れた、実際の相談事例

「本当に大丈夫だろうか…」そう思われる方のために、当事務所で実際に許可取得に至ったご相談者様のケースを2つご紹介します。いずれも、実務上の相談対応に基づく事例です。

事例1:決算書は赤字、でも預金は潤沢だったA社のケース

「先生、うちの会社、もうダメかもしれません…」

血の気の引いたような表情でご相談に来られたのは、A社の社長様でした。元請けから建設業許可の取得を急かされているものの、税理士から受け取ったばかりの決算書が赤字だったため、絶望的な気持ちになってしまったとのこと。

「赤字だと、建設業許可は無理ですよね?」というご質問は、本当によくお受けします。

私はまず、「ご安心ください。許可審査では、会社の損益が赤字かどうかは直接の判断基準にはなりません」とお伝えしました。その一言で、社長の強張っていた表情が少し和らいだのを今でも覚えています。

詳しくお話を伺いながら、問題の「損益計算書」ではなく、会社の財産状況を示す「貸借対照表」を拝見しました。純資産の部は100万円ほどで、このままでは財産要件の500万円をクリアできません。

しかし、私は諦めませんでした。次に「会社の預金通帳はいま、おいくらくらいありますか?」と尋ねたのです。すると、社長から「1,000万円近くはあります」という答えが返ってきました。

この預金残高が、資金調達能力を証明するための重要な要素になります。すぐに銀行で500万円以上の「預金残高証明書」を取得していただき、それを申請書類に添付。結果、何の問題もなく、無事に建設業許可の通知書が届きました。

この事例のように、決算書上の一時的な損益と、会社が実際に保有している資金力は必ずしも一致しないのです。

事例2:「資本金500万円」を誤解していたB社のケース

「うちは設立時の資本金が500万円だから、財産要件は大丈夫ですよね?」

自信を持ってご相談に来られたB社の社長様。しかし、これもまた、建設業許可申請で非常に多い誤解の一つです。

重要なのは登記上の「資本金」の額ではなく、決算書(貸借対照表)の「純資産の部」の合計額。B社の貸借対照表を確認すると、残念ながら度重なる赤字で純資産はマイナス、つまり債務超過の状態でした。

「そんな…」と愕然とする社長様でしたが、ただし、対応できる可能性は残っていました。詳しくヒアリングすると、会社の資金繰りのために社長個人が会社にお金を貸し付けている「役員借入金」が多額に存在することが判明したのです。

そこで私は、決算期前にこの役員借入金を資本金に振り替える「DES(デット・エクイティ・スワップ)」という手法をご提案しました。これは、会社にとっては負債が減り、資本が増強されるという財務改善のテクニックです。

幸い、当事務所は司法書士資格も持っています。私が司法書士として資本金増加の登記手続きを完了させ、最新の決算書をもって建設業許可を申請。こちらも無事に許可を取得することができました。

このように、状況を正しく分析し、適切な手続きを進めることで、許可取得に向けた対応策を検討できる場合があります。

赤字決算で悩む建設業の経営者が、専門家のアドバイスを受けて安心した表情で相談している様子。

建設業許可の財産要件「500万円」の正しい理解

なぜ、赤字や債務超過でも許可が取れるのでしょうか。それは、建設業法が定める財産要件の趣旨を理解すると明らかになります。

一般建設業許可で求められる財産的基礎は、以下のいずれかを満たすことです。

  • 自己資本の額が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金を調達する能力を有すること

行政がここで見ているのは、「一時期の儲け(損益)」ではありません。「資材の購入や労働者の確保など、請け負った工事を最後までやり遂げるための最低限の体力(資力)がありますか?」という点なのです。だからこそ、赤字決算というだけで即不許可にはならず、2つのルートが用意されているわけです。

ルート1:決算書の「自己資本」で証明する

まず、原則となるのがこの方法です。

「自己資本」とは、法人の場合は貸借対照表の「純資産の部」の合計額を指します。個人事業主の場合は、期首資本金、事業主借勘定、事業主利益の合計額から事業主貸勘定を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金、準備金を加えた額となります。

申請直前の決算書で、この自己資本が500万円以上あれば、財産要件はクリアです。たとえその期の損益計算書が赤字でも、過去からの利益の蓄積(利益剰余金)が十分にあれば、このルートで証明できる可能性があります。まずはご自身の決算書を確認してみましょう。

ルート2:「資金調達能力」で証明する(残高証明書の活用)

自己資本が500万円に満たない、あるいは債務超過である。そのような場合に検討されるのが、こちらの方法です。

「500万円以上の資金調達能力」を証明する実務上よく用いられる方法が、金融機関が発行する「500万円以上の預金残高証明書」を提出することです。

これは、決算書上は自己資本が不足していても、一定額の資金を調達できる能力があることを客観的に示す資料です。たとえ債務超過の状態であっても、この残高証明書を用意できれば、財産要件をクリアし、許可取得に向けて財産要件を満たせる可能性があります。

参照:建設業法(昭和二十四年法律第百号)

建設業許可の財産要件500万円をクリアするための2つの方法「自己資本での証明」と「残高証明書での証明」を比較した図解。

残高証明書で許可を取るための3つの重要ポイント

「なんだ、500万円を用意して残高証明書を取ればいいだけか」と思われたかもしれませんが、ただし、実務上注意すべき点があります。このポイントを知らないと、せっかく用意した資金が無駄になりかねません。専門家への依頼には、これらのリスクを回避する大きなメリットがあります。

ポイント1:残高証明書には「有効期限」がある

これが最も重要なポイントです。金融機関で発行してもらった残高証明書は、永久に使えるわけではありません。

多くの自治体では、「申請日から遡って1ヶ月以内」に発行されたもの、といった非常に厳しい有効期限が定められています。神奈川県や東京都も同様の基準です。

建設業許可の申請には、役員の身分証明書や登記されていないことの証明書、会社の登記簿謄本、納税証明書など、他にも多くの書類が必要です。これらの書類集めに手間取っている間に、残高証明書の有効期限が切れてしまったらどうなるでしょうか?

この場合、金融機関で残高証明書を再取得する必要があります。一時的に資金を借り入れていた場合には、再度資金を準備し、証明書を取り直さなければならない可能性があります。これは本当に避けたいシナリオです。

ポイント2:「見せ金」はNG!コンプライアンスを遵守する

「証明の日だけ一時的にお金を入れて、翌日にはすぐ引き出して返済する」といった、いわゆる「見せ金」は絶対にやめてください。

行政庁は、不自然な資金の動きに目を光らせています。疑わしいと判断されれば、残高証明書の日付の前後数日間の通帳のコピーの提出を求められることもあります。もし虚偽申請と判断されれば、許可が取り消されるだけでなく、その後5年間は再申請ができなくなるという重いペナルティが課される可能性があります。

親族から借りるなどして資金を用意すること自体が即座に違法となるわけではありませんが、実態のない見せ金は極めてリスクが高い行為です。コンプライアンスを遵守し、正々堂々と申請に臨むことが、結局は会社を守ることにつながります。

ポイント3:申請時期と必要書類の準備スケジュールを調整する

ここまでお読みいただければ、残高証明書を使った申請がいかにタイミング調整の難しい手続きであるか、お分かりいただけたかと思います。

  • いつの時点で残高証明書を取得するか?
  • 他の必要書類は、いつまでに、どの順番で集めるか?
  • 膨大な申請書類を、不備をできる限り抑えて作成できるか?

これらのタスクを、残高証明書のタイトな有効期限内にすべて完了させるのは、建設業許可申請に慣れていない方にとっては至難の業です。

だからこそ、私たち専門家が存在します。申請までに必要な手順を整理し、スケジュールを立てて、お客様には「いつまでに、何をご用意ください」と的確な指示を出すことができます。当事務所の建設業許可申請の料金には、こうしたスケジュール管理やリスク回避のノウハウも含まれています。

資金の準備という一番大変なハードルを越えたのですから、準備した資金や書類を無駄にしないためにも、申請手続きに不安がある場合は、行政書士に相談することを検討してください。
建設業許可申請のスケジュール相談

【注意】特定建設業許可の要件は全く異なります

ここで一つ、重要な注意点があります。これまで解説してきたのは、あくまで「一般」建設業許可に関するお話です。

元請として受注した工事のうち、総額5,000万円以上(建築工事業の場合は8,000万円以上)を下請に出す場合に必要となる「特定」建設業許可の財産要件は、これとは全く異なり、非常に厳しいものとなっています。

具体的には、申請直前の決算において、以下の4つの基準をすべて満たさなければなりません。

  1. 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上であること
  3. 資本金の額が2,000万円以上であること
  4. 自己資本の額が4,000万円以上であること

特定建設業許可においては、残高証明書による救済措置はありません。決算書そのものの財務内容が問われるため、もし特定建設業許可を目指すのであれば、税理士とも相談の上、計画的な財務改善が必要となります。ご自身の事業が知事許可と大臣許可のどちらに該当するかも含め、専門家にご相談ください。

無事に建設業許可を取得し、許可通知書を手に喜ぶ建設業の男性。

まとめ:赤字決算でも財産要件を確認し、申請可能性を検討しましょう

今回は、赤字決算や債務超過という厳しい状況からでも建設業許可を取得する方法について解説しました。

ポイントを振り返ってみましょう。

  • 決算書が赤字という理由だけで、建設業許可を諦める必要はない。
  • 財産要件は「自己資本」または「資金調達能力」のいずれかで証明すればよい。
  • 自己資本が500万円未満でも、「500万円以上の預金残高証明書」でクリアできる。
  • ただし、残高証明書には厳しい有効期限があり、申請には緻密なスケジュール管理が不可欠。

財務状況に不安を抱えながら、許可取得というプレッシャーの中で一人で悩み続けるのは、精神的にも非常につらいことだと思います。しかし、正しい知識と手順を踏めば、許可取得に向けた対応策が見つかる可能性があります。

私たち、建設業許認可を中心に取り扱う「行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所」は、財産要件に不安がある経営者様からのご相談に対応しています。まずは一人で抱え込まず、現状をありのままお聞かせください。豊富な経験に基づき、貴社の状況に応じた対応策を一緒に検討します。

最初の一歩は、お問い合わせいただくことから始まります。ご連絡を心よりお待ちしております。
いがり綜合事務所への無料相談はこちら

自宅兼事務所で建設業許可を取るための全要件【専門家が解説】

2026-08-09

自宅兼事務所での建設業許可は可能!3つの重要条件とは

「事業を大きくするために建設業許可を取りたいけど、自宅を事務所にしているから無理かな…」
「わざわざ事務所を借りるコストはかけられない…」

こんにちは。川崎市で建設業許認可を取り扱う「行政書士・社会保険労務士いがり綜合事務所」代表の猪狩佳亮です。日々、多くの中小企業や一人親方の皆様から、このような切実なご相談をいただきます。

まず、結論からお伝えしますね。自宅兼事務所であっても、適切な準備をすれば建設業許可を取得することは十分可能です。「専用のオフィスを借りないと許可は取れない」というのは、よくある誤解の一つに過ぎません。

ただし、誰でも簡単に許可が下りるわけではないのも事実です。申請の成否を分けるのは、以下の3つの重要なポイントを満たせるかどうかにかかっています。

  • ポイント①:生活空間との「独立性」を確保できているか
  • ポイント②:事務所としての「使用権原」を証明できるか
  • ポイント③:業務に必要な「物理的設備」が整っているか

この記事では、審査官がどのような視点で自宅兼事務所をチェックするのか、その具体的なポイントと対策を、専門家の視点からわかりやすく解説していきます。最後までお読みいただければ、ご自身の状況で何から準備を始めればよいかが明確になるはずです。建設業許可の全体像については、建設業許可の基礎知識で体系的に解説していますので、そちらも参考にしてくださいね。

最重要ポイント①:生活空間との「独立性」をどう確保するか

自宅兼事務所で建設業許可を取得する際、最も重要で、そして最もつまずきやすいのが「営業所の独立性」の確保です。これは、単に「仕事部屋がある」というだけでは不十分で、「生活空間と明確に区分されているか」という点が厳しく審査されます。

なぜなら、建設業の営業所は、お客様との打ち合わせや契約の締結を行う重要な場所だからです。リビングで家族がくつろいでいる横を通り抜けてご案内したり、プライベートな空間が丸見えになったりするような環境では、適切な業務が行えないと判断されてしまうのですね。

また、見積書や契約書といった重要書類を、家族が簡単に手に取れる場所に置いているようでは、情報管理の観点からも問題視されます。こうした理由から、公(事務所)と私(居住スペース)が明確に区分されていることが絶対条件となるのです。

【解決事例】パーテーション活用で独立性を確保し許可取得へ

「うちの間取りはNGかも…」と不安に思われたかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早いですよ。ここで、当事務所が実際にサポートさせていただいた事例をご紹介します。

ご相談いただいたのは、川崎市高津区で空調工事会社を営むA社の社長様でした。500万円を超える工事の受注が見込まれるため許可取得を考えられていましたが、コストを抑えるため、長年使ってきたご自宅の1階を事務所として申請したいとのご希望でした。

社長様の第一声は、「金看板(建設業許可のこと)取るには、事務所を借りないとだめですか?」という、不安に満ちた直球のご質問でした。

当事務所は中小企業や家族経営の建設業者様からのご相談が多く、自宅兼営業所の申請も数多く経験しています。私はまず、「自宅だからダメ、ということはありません。ただし、認めてもらうには少し工夫が必要になります」とお伝えし、少しホッとしていただけたようでした。

A社様のご自宅は、広いリビングダイニングの一部を仕事スペースとして利用されている状況。理想は個室ですが、このままでは生活空間との明確な区切りがありません。そこで、具体的なアドバイスとして「高さ180cm以上を目安に、倒れたり簡単に移動したりしないよう固定できるパーテーションを設置し、生活空間と事務所スペースを明確に区切りましょう。通販サイトですぐに手に入りますよ」とご提案しました。

玄関は一つでしたが、リビングなどの生活空間を通らずに事務所スペースと応接スペースへ案内できるよう、固定できるパーテーションを使って動線を整理し、営業所要件を満たしやすいレイアウトに整えました。

さらに、申請でつまずかないよう、事務所の状況を証明する写真を多方面から撮影し、手書きで分かりやすい間取り図も当事務所で作成。申請窓口でスムーズに説明できるよう万全の準備を整えた結果、無事に建設業許可を取得することができました。

このように、専門家が介在することで、一見難しそうな状況でも許可取得に向けた具体的な対応方針を整理しやすくなります。知事許可か大臣許可かといった許可の種類に関わらず、営業所の要件は基本となる重要なポイントです。具体的な相談から許可申請の流れについても、ぜひご覧ください。

最重要ポイント②:事務所の「使用権原」をどう証明するか

次にクリアすべき条件は、その場所を「事務所として使用する正当な権利があること」を証明する「使用権原(しようけんげん)」です。これは、不法に占拠した場所で営業活動を行うことを防ぐための要件ですね。証明方法は、建物の所有状況によって異なりますので、ケース別に見ていきましょう。この使用権原の証明は、建設業許可の申請において非常に重要なステップです。

自己所有・家族名義の物件の場合に必要な書類

【自己所有(申請者本人名義)の物件】
このケースは比較的シンプルです。ご自身が所有者であることを証明できれば問題ありません。申請書類の所有状況欄に「自己所有」と記載し、必要に応じて建物の登記事項証明書などを提示できるようにしておくと万全です。

【家族名義(親や配偶者など)の物件】
ご両親や配偶者が所有する家を事務所として使うケースも多いでしょう。この場合は、建物の所有者から「この場所を事務所として使って良いですよ」という同意を得ていることを示す「使用承諾書」が必要になります。

承諾書に決まった書式はありませんが、以下の項目を記載した書類を準備してください。

  • 建物の所在地
  • 使用者(申請者)の氏名・名称
  • 使用目的(「建設業の営業所として使用することを承諾します」など)
  • 承諾日
  • 承諾者(所有者)の住所・氏名・押印

賃貸物件は最難関!「事業用使用承諾書」が必要になる場合の注意点

最も注意が必要なのが、賃貸マンションやアパートを事務所にするケースです。この場合、ハードルがぐっと上がります。

まずは、お手元の「賃貸借契約書」を確認してみてください。多くの場合、使用目的の欄に「居住専用」や「住居に限る」と記載されているはずです。この契約のまま事務所として使用することは、契約違反にあたる可能性があります。

賃貸物件のドアに貼られた「居住専用」の注意書き。事業用使用には大家の承諾が必要であることを示唆している。

そのため、大家さんや管理会社に連絡を取り、「この物件を事業の営業所として使用することを承諾します」という内容の「使用承諾書」に署名・捺印をしてもらう必要があります。

しかし、これが非常に難しいのが実情です。不特定多数の人の出入りを嫌ったり、税務上の問題などを懸念したりして、承諾を断る大家さんは少なくありません。この承諾書がもらえないために、許可取得を断念せざるを得ないケースは、残念ながら非常に多いのです。

もし交渉が難航している、あるいはどう進めたら良いか分からない場合は、一度ご相談ください。状況に応じた対応策を一緒に検討させていただきます。当事務所のお打ち合わせ・ご相談方法については、こちらで詳しくご案内しています。

最重要ポイント③:求められる「物理的設備」と申請用の写真撮影術

最後に、事務所として実態があることを証明するための「物理的な設備」と、それを申請時に示すための「写真」について解説します。いくら独立性や使用権原があっても、机一つない空き部屋では「ここで本当に営業活動ができるのか?」と疑われてしまいますからね。

これだけは揃えたい!看板・固定電話・事務機器の基準

建設業の営業所として、最低限そろえておくべき設備は以下の通りです。これらが整っていることで、継続的に営業活動を行う拠点としての実態があると判断されます。

建設業許可で自宅兼事務所に必要な物理的設備の一覧図。看板、固定電話、事務機器、書類保管庫の4つの要素がアイコンと共に解説されている。
  • 看板(表札)
    外部から見て、そこに建設業の営業所があると分かるように、会社名や屋号を表示する必要があります。立派な看板である必要はなく、玄関の表札やポストにテプラなどで分かりやすく表示されていれば問題ありません。
  • 電話
    営業所として継続的に連絡が取れる電話を用意しておく必要があります。神奈川県の手引では、営業所要件として電話、事務什器、商号表示などが示されています。固定電話に限られるか、事業用の携帯電話番号で足りるかは、申請先の運用を事前に確認しておくと安心です。
  • 事務機器・備品
    業務を行うための机、椅子、電話、パソコン、コピー機など、事務作業ができる環境を整えておく必要があります。また、契約書などの重要書類を適切に保管できる鍵付きのキャビネットや書庫も用意しておきましょう。

失敗しない!申請で確認される営業所写真の撮り方チェックリスト

申請時には、これらの設備が整っていることを証明するために、営業所の写真を提出します。この写真が不十分だと、撮り直しを命じられ、その分許可が下りるのが遅れてしまいます。そうならないために、以下のチェックリストに沿って撮影しましょう。

【営業所写真撮影チェックリスト】

  1. 建物の外観
    建物全体が写るように、少し離れた場所から撮影します。
  2. 入口と看板(表札)
    玄関ドアやポスト、そして「看板(表札)」がはっきりと写るように撮影します。表札の文字が小さい場合は、アップの写真も用意しましょう。
  3. 事務所内部(複数枚)
    これが最も重要です。机、椅子、電話、PC、キャビネットなど、事務所の設備全体が1枚の写真に収まるように、部屋の対角線上の角から撮影するなど、角度を変えて複数枚撮ります。
  4. 独立性を示す写真
    パーテーションで区切っている場合は、そのパーテーションが写るように撮影します。また、玄関から事務所スペースへの入口ドアなども撮影しておくと良いでしょう。

審査官はこれらの写真を見て、「ここで本当に建設業の営業ができるのか」を判断します。写真の撮り方ひとつで申請がストップしてしまうケースは本当に多いため、不安な方は専門家による事前チェックを受けることをお勧めします。当事務所では、ご相談から申請までの流れの中で、写真撮影に関する具体的なアドバイスも行っています。

まとめ:自宅での許可取得に不安な方は専門家への相談をご検討ください

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。自宅兼事務所で建設業許可を取得することは可能ですが、そのためには、

  • 生活空間との「独立性」
  • 事務所としての「使用権原」
  • 業務に必要な「物理的設備」

という3つの要件を確認し、必要な準備を進める必要があることをご理解いただけたかと思います。

特に、ご自身の住まいの状況に合わせた「独立性の確保」、ハードルの高い「賃貸オーナーとの交渉」、そして自治体ごとの細かなルールに沿った「写真撮影」は、専門的な知識がないと対応が難しいポイントです。

もし少しでも「自分でやるのは大変そうだ」「申請に失敗して時間を無駄にしたくない」と感じられたなら、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。当事務所は、皆様の状況を丁寧にお伺いし、許可取得に向けた現実的な進め方をご提案します。

現地の事前チェックから、効果的なレイアウトのアドバイス、写真撮影のサポートまで、ワンストップで対応可能です。初回のご相談は無料ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。川崎市・横浜市を中心に、神奈川県の各対応エリアをカバーしております。

自宅兼事務所での建設業許可でお悩みですか?
まずはお気軽にご相談ください。

いがり綜合事務所の無料相談・お問い合わせフォーム

専任技術者の実務経験10年証明|神奈川県の必要書類と注意点

2026-08-08

資格がなくても大丈夫!10年の実務経験が専任技術者への道を開く

「建設業許可を取りたいけれど、国家資格がないから…」と、諦めかけていませんか?

ご安心ください。建設業許可の重要な要件である「専任技術者」になるための道は、国家資格、指定学科卒業+実務経験、技術検定第一次検定合格+実務経験、10年以上の実務経験など、複数のルートがあります。

  1. ①国家資格を持っていること
  2. ②指定学科の卒業 + 一定期間(3年または5年)の実務経験があること
  3. 許可を受けたい業種で10年以上の実務経験があること

この記事では、③の「10年の実務経験」で専任技術者の要件をクリアしようとお考えの、特に神奈川県の事業者様に焦点を当てて、具体的な証明方法と注意点を徹底的に解説していきます。

長年、現場で積み重ねてきた実務経験は、建設業許可の要件を満たすための重要な根拠になります。この記事を最後までお読みいただければ、10年の実務経験を「建設業許可」という確かな形にするための、具体的な道筋が見えてくるはずです。建設業許可の全体像については、建設業許可の要件で体系的に解説しています。

【神奈川県版】10年経験を証明する2つの重要書類

それでは早速、神奈川県で10年の実務経験を証明するために、どのような書類が必要になるのかを見ていきましょう。ポイントとなるのは、大きく分けて次の2種類の書類です。

  • ① 工事実績の裏付け資料
  • ② 常勤性の証明資料

ここで神奈川県の事業者様にとって、非常に重要なポイントがあります。それは、工事実績の証明が「各年(各事業年度)につき1件以上」で良いという点です。これは、原則として「毎月1件ずつ(10年で120件分)」の膨大な資料が求められる東京都などと比較すると、大幅に負担が少ないルールと言えるでしょう。

神奈川県では、東京都と比べて提出資料の件数が少なくなるため、まずは手元の書類を確認することが重要です。まずは、それぞれの書類の基本を押さえていきましょう。

神奈川県で建設業許可の専任技術者になるための実務経験証明に必要な2つの重要書類。工事実績の裏付け資料と常勤性の証明資料を解説した図。

①工事実績の裏付け資料(契約書・注文書・請求書など)

神奈川県では、10年分の実務経験を証明するために、1年につき1件以上、つまり合計10件程度の工事実績がわかる資料を準備します。具体的には、以下のような書類が該当します。

  • 工事請負契約書
  • 注文書(注文請書)
  • 請求書の写し + その工事代金が入金されたことがわかる通帳の写し

これらの書類を審査する際、行政庁は主に以下の点を確認しています。

  • 工事内容:許可を受けたい建設工事の種類であることが明確にわかるか
  • 日付:10年間の各年を網羅しているか
  • 金額:社会通念上、実態のある工事と判断できるか

「10年分といっても、毎年1件ずつ、合計10件程度の書類で証明できる」というのは、神奈川県の大きな特徴です。しかし、提出書類が少ないからこそ、後ほどご説明する確認ポイントを正確に押さえる必要があります。

②在籍期間の証明資料

次に、実務経験を証明するには、その工事に従事していた期間だけでなく、その会社・事業者に在籍していた期間も確認されます。社会保険の被保険者記録照会回答票、(現在在籍中なら)一定の資格確認書、源泉徴収票・源泉徴収簿、法人役員なら登記事項証明書、個人事業主なら確定申告書などを確認します。

③常勤性の証明資料(健康保険資格確認書など)

現在の常勤性を証明する資料としては、神奈川県の手引きに沿って、事業所名が記載された有効期限内の健康保険資格確認書、建設業国民健康保険加入証明書、健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書などを確認します。

もし、国民健康保険や建設国保に加入していた場合は、代わりに住民税の課税(または非課税)証明書などを提出することになります。

神奈川県で建設業許可を得るには、営業所が一つの都道府県のみにある場合の知事許可を申請することになりますが、その際にもこれらの常勤性の証明は不可欠です。

参照:建設業許可変更届関係書⾯の記載例(国土交通省 関東地方整備局)

要注意!確定申告書を証明に使う場合の3つの確認ポイント

「年に1件でいいなら、何とかなりそうだ」
そう思われた一人親方や個人事業主の方も多いかもしれません。特に、工事の契約書や注文書が残っていなくても、「確定申告書」を工事実績の証明として使える場合があるため、希望が見えることもあります。

ただし、確定申告書を使う場合には注意すべき確認点があります。

神奈川県の審査では、この確定申告書の内容が非常に厳しくチェックされます。書類が少ない分、1枚1枚の記載の正確性がより重要になるのです。ご自身の状況と照らし合わせながら、つまずきがちな3つのポイントを確認していきましょう。

建設業許可の実務経験証明で確定申告書を使う際の3つの注意点。事業種目欄の記載、税務署の受付印や受信通知の有無、書類の重要性についての警告。

確認ポイント①:事業種目欄の記載が「〇〇工事等」はNG

神奈川県の審査で、最も多くの方がつまずくポイントが、確定申告書第一表の「事業種目」欄の記載です。

この欄には、許可を取りたい業種が単独で、かつ明確に記載されている必要があります。

  • 認められる例:「内装仕上工事」「塗装工事」「管工事」
  • 認められない例:「内装工事 等」「建設業」「リフォーム業」「土木・建築一式」

神奈川県の手引き上、「〇〇等」や別業種との併記など、申請業種を明確に判断できない記載は原則として認められません。また、「建設業」のような曖昧な記載や、複数の業種が併記されている場合も同様です。

法人の場合で、確定申告書の事業種目欄が空欄のときは、添付されている「法人事業概況説明書」の事業内容欄に明確な記載があれば認められることもあります。

いかがでしょうか。今すぐお手元の確定申告書の控えを確認してみてください。もし曖昧な記載になっていたら、その年の経験は残念ながら証明できない可能性が高いのです。

確認ポイント②:税務署の「受付印」または「受信通知」がない

確定申告書は、ただ控えがあれば良いというものではありません。それが「税務署に正式に提出されたものである」ことを証明する必要があります。

その証明となるのが、税務署の「収受日付印(受付印)」です。

電子申告(e-Tax)の場合は、申告データが正常に税務署に届いたことを示す「受信通知(メール詳細)」を申告書の控えとセットで保管しておく必要があります。また、令和7年1月以降は書面提出の場合も申告書等の控えへの収受日付印の押なつが廃止されているため、提出事実を確認できる資料の扱いにも注意が必要です。

お手元にある控えに、はっきりと受付印は押されていますか?e-Taxの場合、受信通知を毎年きちんと保存していますか?

もし受付印や受信通知等で提出事実を確認できない場合は、税務署への開示請求など、別の方法で提出済みであることを確認できる資料を準備する必要が生じることがあります。これには相当な時間と手間がかかるため、申請準備が大幅に遅れてしまう原因となります。なお、税務署では令和7年1月からは申告書等の控えへの収受日付印の押なつが廃止されるなど、取り扱いも変化しているため注意が必要です。

落とし穴③:【比較】東京都なら120枚以上の書類が必要なことも

ここまで読んで、「神奈川県の審査は厳しいな」と感じたかもしれません。しかし、視点を変えると、神奈川県の「年に1件」というルールがいかに恵まれているかがわかります。

例えば、お隣の東京都で10年の実務経験を証明する場合、原則として1月1件の工事資料で1か月分の経験を確認するため、10年分では非常に多くの資料が必要になります。ただし、所定の確認表を利用する場合など、一部の資料を省略できる取扱いもあります。

この事実を知ると、神奈川県のルールがいかにシンプルかわかるでしょう。しかし、それは裏を返せば、「提出する1枚の書類の記載内容が、より厳格に審査される」ということでもあります。

書類が少ないから楽、というわけでは決してないのです。むしろ、たった1枚の記載不備が命取りになりかねない、という厳しさが神奈川県の審査にはあるのです。

書類集めでつまずかない!専門家が解決した2つの事例

「自分の書類は大丈夫だろうか…」「昔の書類なんて、もう残っていないかもしれない…」
ここまで読んで、不安が大きくなった方もいらっしゃるかもしれません。しかし、諦めるのはまだ早いです。私たち専門家が介入することで、道が開けるケースは少なくありません。ここでは、当事務所が実際に解決した2つの事例をご紹介します。

事例1:【神奈川県】税理士が保管していた確定申告書でクリアしたA社

先代から内装工事業を営むA社。2代目社長から「元請けに言われて、建設業許可を取りたい」とご相談がありました。社長ご自身は25年以上の現場経験をお持ちでしたが、施工管理技士などの国家資格はなく、ご家族で経営されているため他の社員にも資格者はいませんでした。

そこで、社長の10年の実務経験で専任技術者の要件を満たす方針を立てました。問題は、10年分の工事実績をどう証明するかです。

社長ご自身は過去の書類をあまり保管されていませんでしたが、幸いなことに、顧問税理士の先生が過去の確定申告書の控えをすべて保管してくださっていました。さらに、電子申告(e-Tax)で提出されていたため、申告書とあわせて「メール詳細(受信通知)」もすべて揃っていました。

事業種目欄の記載も「内装工事業」と明確だったため、これらの書類を実務経験の証明資料として提出し、無事に建設業許可を取得することができました。この事例は、たとえご自身の手元に資料がなくても、税理士のような専門家と連携することで道が開けることを示しています。そして、私たち行政書士は、その書類が許可申請に使えるかどうかを的確に判断し、申請を成功へと導く役割を担います。

建設業許可の書類準備に悩む社長に、専門家である行政書士が解決策を提案し、安心させている相談風景。

事例2:【東京都】過去の通帳がなくても銀行履歴の取り寄せで解決したB社

もう一つ、より困難だった東京都での空調工事会社B社の事例です。東京都では、先述のとおり過去10年分、毎月の工事実績を示す必要があります。しかしB社では、請求書の控えは一部あるものの、注文書はほとんど残っておらず、過去の通帳も処分してしまっている状況でした。

普通ならここで諦めてしまうかもしれません。しかし、私たちは別の方法を探りました。メインバンクに交渉し、過去10年分の「銀行取引履歴」を取り寄せたのです。

もちろん、これで終わりではありません。ここからが本当に地道な作業でした。膨大な量の取引履歴の中から、B社が発行した請求書に対応する入金記録を、1件1件、120ヶ月分すべて照合していくのです。

このような確認作業を経て、10年分の証明資料を整理し、許可取得につなげることができました。この事例から、手元に書類が不足している場合でも、代替資料を確認する余地があることがわかります。しかし同時に、これほどの手間と専門的なノウハウが必要な作業を、社長ご自身が本業の傍らで行うのがいかに非現実的かもお分かりいただけるのではないでしょうか。

自己申請で注意すべき点と専門家へ依頼する3つの理由

ここまでお読みいただき、10年の実務経験の証明が、思った以上に繊細で複雑な手続きであることをご理解いただけたかと思います。もちろん、ご自身で申請に挑戦することも可能です。しかし、自己申請では多くの時間と労力がかかり、精神的な負担が大きくなる場合があります。私たちが専門家への依頼をお勧めするには、明確な3つの理由があります。

理由1:膨大な書類準備と窓口往復の時間から解放される

社長にとって最も貴重な資源は「時間」です。10年分の書類を押し入れの奥から探し出し、内容を一つひとつ確認し、不備があれば代替案を考え、そして平日の昼間に何度も行政窓口へ足を運ぶ…。これらの作業に費やす時間を、本来の業務である現場の管理や営業活動に充てた方が、会社にとってどれだけ大きな利益になるでしょうか。

私たちがそのすべてを代行することで、社長は最も重要な本業に集中できます。専門家へ依頼することで、申請準備にかかる時間を抑え、本業に充てる時間を確保しやすくなります。当事務所の相談から許可申請の流れもぜひご覧ください。

理由2:書類の不備による申請の長期化・不受理リスクを回避できる

建設業許可の審査は、年々厳格化しています。特に、経営業務管理責任者や専任技術者のような人的要件の証明は、行政庁との解釈のすり合わせが必要になることも少なくありません。些細な書類の不備や記載ミスで何度も補正を求められ、申請が数ヶ月も滞ってしまうケースや、最悪の場合、申請が「不受理」となってしまうリスクもあります。

私たちは、建設業許可申請を中心に取り扱う行政書士として、最新の審査基準や神奈川県のローカルルールを踏まえて対応しています。豊富な経験に基づき、想定される問題を先読みし、できる限り円滑な許可取得を目指します。

理由3:前職の証明など、依頼しづらい書類確認も相談できる

10年の実務経験を証明する際に、以前勤めていた会社での経験を合算する必要が出てくることがあります。この場合、前職の会社の代表者等に、実務経験証明書の証明者となってもらう必要があります。

しかし、「円満退社ではなかった」「前の社長とはもう連絡を取りたくない」など、ご自身では頼みづらいケースもあるでしょう。そうした精神的な負担が大きい書類確認についても、私たち行政書士が申請手続きに必要な範囲で状況を整理し、冷静かつ事務的に進めることが可能です。

こうした手続きも含め、建設業許可の申請について、私たちはあらゆる面からサポートいたします。

建設業許可の取得に関するご相談は、ぜひ当事務所にお任せください。
建設業許可の取得に関するお問い合わせはこちら

まとめ|10年の実績を「許可」という形に変えましょう

今回は、神奈川県で10年の実務経験によって専任技術者となり、建設業許可を取得するための方法について解説しました。

  • 資格がなくても、10年の実務経験で専任技術者になる道がある。
  • 神奈川県では「年に1件」の工事資料で証明が可能だが、その分、1枚の書類の審査は厳しい。
  • 特に確定申告書を証明に使う場合、「事業種目」の記載や「受付印・受信通知」の有無に注意が必要。
  • 書類集めの困難さや手続きの煩雑さは、専門家が解決できる。

この10年間に現場で積み重ねてきた実務経験は、建設業許可の要件確認において重要な資料となる場合があります。その実績を、これからの事業の発展に繋がる「建設業許可」という確かな形に変えるお手伝いを、ぜひ私たちにさせていただけないでしょうか。

「自分の場合はどうだろうか?」「こんな書類しかないけれど、可能性はあるだろうか?」
どんな些細なことでも構いません。まずは一度、お気軽にご相談ください。10年の実務経験を建設業許可申請に活用できるか、当事務所が状況に応じて確認します。
初回のご相談は無料です。まずはお気軽に建設業許可に関するお問い合わせください。

「経営者のための助成金情報メルマガ」発行のお知らせ

2023-03-18

当事務所では、このたび「経営者のための助成金情報メルマガ」を発行することにしました。

このメルマガでは、約100種類もある厚生労働省の助成金の中から、「いま狙い目の助成金」について、支給要件や受給できる金額など、知らないと損をする助成金情報を毎週お届けしていきます。

ご登録、メルマガの購読は無料です。

助成金にご興味があれば、ぜひ登録してみてください。

【登録フォーム】

https://76auto.biz/ss-igari/registp/entryform2.htm

退職の種類(雇用契約の終了原因)

2023-02-24

従業員の方の退職について、会社側からのご相談は非常に多いです。

ただ、お話を伺っていると、「給料1ヶ月分払えば、解雇できるんでしょ」など、誤解されているなあと思うことが時々あります。

退職には、i次の通りいくつかの種類があります。まずは退職にまつわる様々な問題を考える前提知識として、退職の種類についてお話してみたいと思います。

  • 辞職(従業員からの一方的な契約終了の意思表示)
  • 解雇(会社からの一方的な契約終了の意思表示)
  • 合意退職(会社と従業員の合意による契約終了)
  • 就業規則所定の事由が発生(定年、死亡、休職期間満了など)
  • 【有期雇用の場合】契約期間満了

退職にまつわる問題が起こったら、上記のどれにあたるのか?をまず整理した上で、問題点を検討されるとスムーズです。

ここでは、それぞれの概要について、まずは簡単にご説明します。

辞職(従業員からの一方的な解約)

従業員が「退職届」を会社に提出してやめる、いわゆる自己都合退職がこれにあたります。割とトラブルなく退職が成立しやすいケースといえます。

無期雇用の場合は、従業員が「辞める」という意思表示をすれば、一定期間(原則として2週間)が経過することにより、労働契約は終了します。

有期雇用の場合(たとえば1年契約)は、健康上の問題など「やむをえない」事由がない限り、期間の途中で一方的に会社を辞めることはできません。会社の承諾もなくいきなり出社しないと、会社から損害賠償請求されることもあります。

もっとも、就業規則や雇用契約書に(合理的な)別段の定めがあれば、その定めに従います。

解雇(会社からの一方的な解約)

従業員がどうしても自分から退職せず、それでも会社として辞めさせたい場合は、解雇の手続きを取ることになります。

社長さんの中には、お金さえ払えば簡単に解雇できる、などと思いこんでいる方もいらっしゃいますが、解雇は経営上、かなりリスクの高い行為です。解雇権濫用法理というのがあって、よっぽどの理由が無いと、有効な解雇は難しいとお考えください。

当事務所では、基本的に「できる限り、解雇以外の方法を検討してください」とお話しています。

解雇に関する具体的なリスク、解雇までの流れについては、かなり長い話になりますので、別記事でご紹介します。

合意退職(従業員と会社の合意による解約)

文字通り、従業員と会社が合意の上で、労働契約が終了するケースです。「退職合意書」という書面を作成して、双方が署名捺印するという方法が一般的です。

お互いの合意によるのですから、退職後にトラブルが発生するリスクを限りなく0にすることができます。これが合意退職の1番のメリットです。

とはいえ、従業員からすると会社を辞めるというのは、生活に直結する重大な問題です。その従業員が退職に合意するためには、適切なステップを踏んで話を進めていく必要があります。

雇止め(契約期間満了)

有期雇用契約(1年契約など)の期間が満了したときに、祖の更新をしないで契約を終了させることを「雇止め」といいます。

そもそも契約期間が決まっているのですから、原則的には期間満了でおしまい、ということになるようにも思えます。

しかし、労働契約法では、形式的には有期契約だけど実質的には無期雇用契約と変わりないような場合(たとえば、過去に何度も契約更新をしてきたような契約社員)や、更新することに合理的な期待が認められるような場合には、解雇の場合に準じた対応をすべき、としています。

どのような場合には形式的に期間満了でいいのか、どのような場合に解雇に準じた慎重な手続きをしなければならないのか、については、過去に多くの裁判例が積み重ねられてきました。検討する要素など気をつけるべき点について、別の記事でご紹介します。

従業員の退職問題でお困りなら

当事務所へのご相談で最も多いテーマの1つともいえる、従業員の退職問題。基本的にきちんと書類や証拠をそろえないと、会社の思うような解決に至るのは難しいと言えます。

法律や過去の裁判例をベースにしつつも、1つ1つ事案の内容や従業員の性格、置かれた状況は違うので、個々の事案に応じた柔軟な進め方、落としどころの見つけ方が重要になります。

また、退職に関する問題を解決するには、御社の就業規則や雇用契約、退職させたいと思うに至るまでの経緯を、十分に把握する必要があります。顧問先であれば、常日頃から情報交換やお打合せをさせていただいているので、対応もスムーズです。

それぞれの退職の種類によって、進め方や注意点があります。対応を誤ると大きなトラブルにも発展しかねないので、なるべく早いタイミングでお気軽にご相談いただければと思います。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)よくある質問

2022-10-14

 数ある助成金の中でも長年1番人気といわれるキャリアアップ助成金(正社員化コース)ですが、年々条件が厳しくなり、令和4年10月1日から要件が追加されました。引き続きこの助成金を申請しようとする場合、ほとんどの会社で就業規則の変更が必要になると思います。また、それ以外にもキャリアアップ助成金についてはクライアントから様々な質問をいただきます。

 そこで、キャリアアップ助成金(正社員化コース)についてよくある質問と留意点をまとめてみたいと思います。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の注意点

令和4年10月1日以降の「正社員」の定義

 キャリアアップ助成金は、有期または無期社員(非正規社員)から正社員へ転換することに対して支給されるものです。この対象となる転換後の「正社員」といえるための条件として、
 ・「昇給」に関する規定が就業規則にあること
 ・「賞与または退職金の制度」が就業規則にあること

が追加されました。この規定の方法については、「原則として昇給(賞与支給)する」ことが明確に読み取れなければなりません。たとえば「会社の業績によって賞与を支給することがある」「会社の判断により昇給することがある」では、支給するかしないか不明瞭なのでアウトということです。

 もっとも、賞与支給に関する就業規則があるからと言って、実際には業績悪化等により賞与を支給できないケースもあると思います。そのような場合は、助成金申請時に賞与不支給に関する説明が求められることになります。

令和4年10月1日以降の「非正規社員」の定義

 キャリアアップ助成金は、有期または無期社員(非正規社員)から正社員へ転換することに対して支給されるものです。この「非正規社員」にといえるためには、

 賃金の額または計算方法が正社員と異なる就業規則の適用を6か月以上受けている

が必要になりました。具体的には、「正社員が月給、非正規社員が時給」や、「正社員には賞与を支給し、非正規社員には賞与を支給しない」などの規定ぶりが考えられます。

正社員転換後に試用期間があってはダメ

 令和4年9月30日までは、試用期間があっても賃金が低くなければ助成金の支給対象になっていました。令和4年10月1日以降は、正社員への転換後に試用期間を設けると、助成金の対象となる「正社員」とはみなされず、助成金は不支給になります。

 このような事態を避けるため、就業規則に「正社員転換した者には試用期間は設けない」などの規定を盛り込んでおくとよいと思います。

正社員転換して6か月経過し、その後退職した場合は対象となるか

 非正規社員6か月→正社員に転換(賃金3%アップ)→正社員として6か月勤務→助成金申請前に退職

 の場合、キャリアアップ助成金は申請できるか、というご質問がよくあります。

 この場合、自己都合退職であればキャリアアップ助成金は支給されます。解雇など会社都合の場合は支給されません。この場合は退職届が添付書類になりますので、自己都合退職者からは退職届を提出させておきましょう。

求人募集を出す場合の注意点

 キャリアアップ助成金は、入社時からもともと正社員採用を約束していた場合は支給されません。「最初の6か月だけ契約社員ということで了解してほしい、6か月たったら正社員にするからさ」という約束が最初からある場合はダメだということです。

 この条件をクリアするため、あるいはこうした約束があったと誤解されないためには、求人募集の記載に注意が必要です。正社員求人の中に「契約社員採用もありうる」等の注意書きをしておくとよいかもしれません。

業務委託などで過去働いていた人は対象外

 正社員転換の前3年以内に、キャリアアップ助成金を申請しようとする会社または関連会社で業務委託、請負などとして働いていた場合、その後に非正規社員として入社し正社員転換しても、キャリアアップ助成金は支給されません。最近、フリーランスなどの働き方が増えており、フリーランスから雇用契約に切り替えるような場合は要注意です。

就業規則をきちんと整備することが重要

 キャリアアップ助成金(正社員化コース)の注意点をいくつか見てきました。これ以外にも、いざ申請しようとすると疑問点が多々出てくると思います。また別の機会に紹介していきますし、ご質問がありましたら無料相談でお問い合わせください。

 令和4年10月1日の改正にきちんと対応するためには、とにかく就業規則を的確に改正することが重要なポイントになります。今回紹介した以外にも、就業規則の規定漏れで不支給になるケースが今後多発すると予想されます。当事務所では、厚生労働省から出されたQ&Aを読み込み、要件に対応した就業規則の変更に対応しております。どうぞお気軽にご相談ください。

  


建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録に必要な書類①(技能者登録)

2022-05-17

 前回、建設キャリアアップシステム(CCUS)の制度の概略についてご説明しましたが、今回からは、具体的な申請手続きについて、特に必要書類についてご説明します。CCUSの登録には、事業者登録、技能者登録などがありますが、今日はもっとも分量の多い技能者(現場で工事業務に従事する人)の登録を取り上げます。

1 本人確認書類

日本国籍の方

次のいずれか1点が必要になります。

  ・運転免許証
  ・マイナンバーカード
  ・パスポート+住民票

外国籍の方

次のいずれか1点が必要になります。

  ・在留カード
  ・特別永住者証明書
  ・パスポート+住民票

 なお、日本国籍、外国籍とも、上記のいずれも用意できない場合は、「住民票+健康保険証」で申請することも可能ですが、この場合はインターネット申請ができず窓口申請となります。

2 顔写真

 登録完了後に発行されるキャリアアップカード用に使用されます。一般的な証明写真と注意点はほぼ同じですが、次の点にご注意ください。  

  ・スマートフォンで撮影したものでも大丈夫です。

  ・正面を向いたもの、脱帽、マスクやサングラスは不可

  ・背景は無地(青や淡いグレーの背景)   

  ・形式はjpg形式でご用意ください。

3 社会保険等の加入証明書類

健康保険

 健康保険被保険者証

 *記号番号、保険者番号、QRコードはマスキングする必要があります。

年金保険(厚生年金の場合)

 次のいずれか1点が必要です。

  ・健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額決定通知書
  ・厚生年金等加入証明書

 通常は、標準報酬決定通知書が会社に保管されていると思います。

年金保険(国民年金)

 次のいずれか1点が必要です。

  ・年金手帳
  ・ねんきん定期便
  ・領収済通知書(納付書)

 *いずれの場合も、基礎年金番号はマスキング(黒塗り)します。

雇用保険

 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主用)

 *雇用保険加入時に発行されるものです。

中小企業退職金共済制度(中退共)*加入している場合

 中小企業退職金共済手帳

建設業退職金共済制度(建退共)*加入している場合

 中小企業退職金共済手帳

労災保険特別加入

 特別加入は、中小企業の役員、個人事業主、一人親方等の方のための労災保険です。特別加入されている方については、次のいずれかの書類が必要です。 

 ・労災保険 特別加入証
 ・労災保険 特別加入証明書
 ・労災保険 特別加入申請書(受付印のあるもの)

4 資格や研修受講などの証明書類

 建設業に関する資格を保有していたり、研修受講歴がある場合は、その証明書類が必要です。

 ・登録基幹技能者講習修了証
 ・免許証、資格証、合格証、免状、技能講習修了証、特別教育修了証、安全衛生教育修了証など
 ・研修受講証明書類
 ・表彰証明書類
 ・指定学科での学歴+実務経験で主任技術者になる方は、卒業証明書(卒業証書とは異なります)

まとめ

 建設キャリアアップシステムの技能者登録に必要書類をご紹介しました。ご覧いただいてお分かりのとおり、通常の労務管理をしている会社であればそれほど難しい書類はありません。

 ただ、一部

 ・マスキング(黒塗り)する必要がある
 ・表裏のコピーが必要なものと表面のみ必要なものがややこしい
 ・有効期間に注意しなければならない

など、細かい点の注意ポイントがたくさんあり、ご自身で実際に申請手続きしようとすると、かなり面倒です。必要書類のコピーさえご提供いただければ、あとは当事務所がすべて代行申請いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録はお済みですか?

2022-05-02

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

 建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、建設業に従事する技能者の経験、資格、技能、社会保険加入状況などの情報を登録・蓄積し、技能者の能力とキャリアを見える化するためのシステムです。国土交通省が推進し、平成31年4月より本格運用が開始されています。

建設キャリアアップシステム(CCUS)ができた背景

 現在の建設業就労者の状況を見ると、若者の入職者が減少しており、人材の高齢化が進んでいます。就業者の減少により、外国人労働者などに頼らざるを得ない状況であり、このままだと将来的に建設業の基盤が崩れてしまいかねません。

 また、建設業の年齢別賃金を見ると、40歳代でピークを迎え、その後は賃金額が減少していく傾向にあります。

 こうした状況下で、若者が建設業という仕事を選択してもらうには、建設業が魅力的な職業、産業であることを示す必要があります。

 建設業の特徴として、技能者が異なる事業者のさまざまな現場で仕事をするため、そうした経験によるスキルアップを統一的に評価することが難しいという問題があります。こうした状況を改善するため、技能者のスキル・キャリアを「見える化」し、ひとりひとりの技能者の経験や資格、技能に関する情報を一元化することを目的として、建設キャリアアップシステム(CCUS)が設計されました。

 後述するように、技能者にも事業者にもメリットが見込まれます。国土交通省によると、令和5年4月にはすべての工事でCCUSを導入することを目指すとされています。

建設キャリアアップシステム利用の流れ

1 事業者(建設業者)の情報をCCUSに登録

  会社名、所在地、資本金など基本情報を登録します。

2 技能者(建設業労働者など)の情報をCCUSに登録

  本人の個人情報(氏名、住所等)、所属事業所、保有資格、研修受講履歴、社会保険加入状況などを登録します。登録後にICカードが送られてきます。

3 元請業者が工事現場の情報をCCUSに登録

  現場名、工事内容などを登録します。また、その後に下請け業者とともに施工体制を登録します。

4 現場で技能者がICカードをカードリーダーにタッチ

  これにより、就業状況がカードに登録されます。

建設キャリアアップシステム利用のメリット

技能者のメリット

1 適正な評価、賃金を得ることができる

 ICカードに就業記録や保有資格、職長経験などが登録されることにより、1枚のカードで建設業における実力を客観的なデータで証明できることになります。適正な評価を得ることで、適正な賃金につながるといえます。

2 建退協(建設業退職金共済事業本部)の適切な積立てが可能になる  

 ICカードにより就業日数が明確に記録されるため、建退協の退職金に関する手続きがスムーズになります。

事業者側(建設業者)のメリット

1 技術力を対外的に証明できる

  会社に所属する技能者の能力を客観的に証明できるので、元請業者や施工主、取引先に対して会社の実力をアピールすることができます。エビデンスに基づく価格交渉も可能になると考えられます。

2 人材確保につながる   

  良い技能者が多い会社は、新たな入職希望者へ「キャリアアップできる会社」としてその魅力をアピールすることができ、優秀な人材の確保につながると考えられます。

建設キャリアアップシステムへの登録はお任せください 

 メリットの多い建設キャリアアップシステムですが、利用開始までの登録作業(事業者登録、技能者登録)はかなり面倒な作業になります。登録に必要な書類などは次回以降、あらためてご説明していきたいと思います。

 この面倒な登録作業がCCUS利用のハードルとなっていることを受け、令和4年2月より、行政書士による登録代行の制度がスタートしました。当事務所でも建設キャリアアップシステム登録代行を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

両立支援助成金(子育てパパ支援助成金)の変更について②

2022-03-30

 男性労働者が育児休業を取得することを支援する「両立支援等助成金 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」が、令和4年4月から変更になります。
 前回のコラムでは、支給額や支給回数が令和3年度より減少すること、育児介護休業法の改正に合わせて支給要件も変更になること(複数の雇用環境整備措置を実施)などについてご説明しました。
 今回は、今回新設される「男性労働者の育児休業取得率が上昇した場合の助成金」(第2種)についてご説明します。

3年以内に男性の育休取得率30%以上アップで支給される

 単発で1人が育児休業を取得するだけでなく、会社全体として育児休業取得率を上昇させることにより追加で助成金が支給されます。
 主な受給要件と支給額は、以下の通りです。

支給要件

(1)「第1種」の子育てパパ支援助成金の支給を受けていること

 「第1種」というのは、前回ご説明した、育児休業を5日以上連続して取得すると支給される20万円の助成金のことです。

(2)育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること

 前回のコラムでもご説明しましたが、育児休業に関する研修、相談窓口の設置、育児休業を取得した従業員の事例紹介、育休促進方針の周知のうち2つ以上の実施が必要になります。

(3)育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること。

(4)男性労働者の育児休業取得率が、「第1種」の支給を受けてから3事業年度以内に30%以上上昇していること。

(5)育児休業を取得した男性労働者が、「第1種」の申請に係る者の他に2名以上いること。

助成金額

  「第1種」の助成金の支給を受けてから育児休業取得率が30%以上上昇するまでの年数によって、次のとおり支給されます。

 ・1年以内の場合:60万円(75万円) 
 ・2年以内の場合:40万円(65万円) 
 ・3年以内の場合:20万円(35万円)

  ※(  )内は、生産性要件を満たした場合の支給額です。

まとめ

 新設された子育てパパ支援助成金(第2種)についてご説明しました。

 簡単に言うと、3年以内に男性労働者の育休取得率を30%以上にするともらえる助成金です。この30%以上の計算方法や代替労働者に関する規定の具体的な内容は、4月以降に支給要領が公表されると思いますので、情報を入手次第、コラムなどで改めてお知らせします。

 国としては、社会全体として男性労働者の育児休業取得を促進したいという方針があり、このような助成金制度を新設したものと思われます。
 この助成金を狙おうと思うと、会社としては、たまたま1人の男性労働者に育休を取得させるだけではなくて、その試みを継続的に行っていくこと、また代替要員などに関する制度設計も求められます。ただ、5日間という短期間でもパパを子育てに参加させてあげることで、仕事と家庭との両立を支援できますし、結果として従業員の会社に対する満足度も上がると思います。

 個人的に私も2人の子どもの父親ということもあり、この助成金は積極的にご提案していきたいと考えております。ご興味のある会社や個人事業主の方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

両立支援助成金(子育てパパ支援助成金)の変更について①

2022-03-24

 男性労働者の育休取得促進を目的として人気の「子育てパパ支援助成金」の内容や支給額が、令和4年度から変更になります。

支給額の変更(減額)

 まずは最も気になる支給額についてです。
 令和3年度は、5日以上の育休取得について1人目は57万円(さらに追加で5日の育児目的休暇を取得すると+285,000円)とかなり高い支給額でした。しかも金額は少ないものの1事業主あたり10人まで支給されていました。
 これが令和4年度は支給額が20万円、しかも1事業主1回限りとかなり減額となります。また、育児目的休暇による助成金は廃止となります。もともとの金額(57万円)が高すぎたとも言えますが、ちょっと残念な気はしますね。それでも、引き続き魅力のある助成金だとは思います。

代替要員加算(新設)

 その分、育児休業取得者の業務を代替する社員を新規採用(派遣を含む)した場合には助成金額が加算されます。加算金額は20万円、代替要員3人以上の場合は45万円です。

助成金受給要件の変更

パパ育児支援助成金の受給要件に、次の要件が設けられました。

育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること。

 先日のコラムでご紹介した、育児休業に関する令和4年4月改正を受けたものです。研修、相談窓口の設置、育休取得した社員の事例紹介、育休促進方針の周知の4つのうち、法律上は1つ実施すればよいのですが、助成金受給のためには複数(2つ以上)の実施が必要になります。

育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること。

 上記で説明した、20万円または45万円の代替要員加算を受ける場合の要件になります。

まとめ

 令和4年度から実施される、パパ育児支援助成金の変更についてご説明しました。

 ・支給額が20万円と減少、回数も1事業主1回限りに変更
 ・代替要員加算(20万円~)が新設。
 ・令和4年4月改正法で定められた雇用環境整備措置を2つ以上実施が必要。

 金額の減少は正直なところ残念ですが、依然として弾性労働者の育休促進による子育て支援は重要な課題と言えます。
 また、次回のコラムで詳しくご紹介しようと思いますが、事業主全体として男性労働者の育児休業取得率が上昇した場合にはさらに助成金が追加で支給されることになります。
 全体としては、パパ育児支援助成金はなお魅力的な助成金だと思いますので、引き続きご案内していきたいと思います。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0447426194 問い合わせバナー